理事長の権限ー規約に組合の代表と定めていることに関連してー

理事長の権限

管理規約には理事長は管理組合を代表するとか、理事長は区分所有法の管理者とするとかと定められています。
このことから理事長の権限が最初から具体的に定まっていると思う方が非常に多いと思います。
時折暴走する理事長がいるのはそのことが原因しているかもしれません。
ここで私なりの理解を示したいと思います。
管理組合の代表とは何か。法人化していない組合は権利能力なき社団と言うもので一つの団体となりその代表機関が必要となりますので理事長がその代表となります。組合の内部においても外部に対しても代表者として存在します。ただし、理事長が単独で何かを決めて実行できるという地位ではありません。意思決定機関である集会や理事会の決議が必要です。
管理者はどうでしょうか。

区分所有法の管理者

法26条に規定があります。2項には管理者は区分所有者を代理するとあります。この規定から管理者イコール理事長は区分所有者の代理人としてなんでもできるというように読み取ることは無理なんです。
包括的な意味で代理人となる地位にあると定められているという理解で良いと思います。

実際の場面ではどうか

例えば管理費滞納者に対する請求を理事長がすることは日常的なことです。その場合は理事会あるいは総会の決議を得て理事長が組合の代表として個別具体的に請求することとなります。そして弁護士に委任して請求や訴訟提起をするときも弁護士に委任することをも含んだ承認が総会や理事会でなされていることとなります。こうした手続きを授権行為と言います。
授権することは本人の意思によります。本人は管理組合では集会承認になりますし理事会で可能なこともあります。

まとめ

私の言いたいことは、総会や理事会の承認を得て理事長が個別具体的な事案の代表として法律行為ができるということです。前提として総会での手続きは適正でなければなりません。理事長に法律行為を委ねるのは組合であるということです。理事長だからなんでも独断でできるものではないのです。
                                                  以上