専用使用権について その設定方法を考える

専用使用権とは

 専用使用権とは、分譲マンションの共用部分あるいは共有敷地の一部について特定の者が一定の目的のために排他的に使用収益をする権利を有する場合にこのような権利を専用使用権と総称している。専用使用権につては建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)などの法律によって定められている権利ではなく、それぞれの分譲マンションにおいて個別に定められるものである。その定め方は全区分所有者による共有部分の管理に関する合意によるものと理解されている。専用使用権の歴史は古く様々な権利内容を持ったものが存在したために法律で一律に決めることができなかったということです。

設定方法

 その方式としては管理規約での設定とか総会決議が考えられているが、権利の内容によっては区分所有者の全員の同意が必要となるものもある。
 専用使用権の設定として代表的なものは、共有敷地に設けられた駐車場、各住戸に接合されているバルコニー、一階住戸の専用庭、玄関ドアや窓枠、そして店舗の通路や看板設置場所としての店舗前敷地があげられる。有償のものもあれば無償のものもある。また、専用使用部分が当該専有部分の区分所有者しか使用できないという部分もあるし、誰でも使用できる部分もある。誰でもが使用できる部分は結果として他者の権利を害することとなっている。
 このように権利の内容が様々ある。私は現在専用使用権の関係する訴訟を3件担当している。
一つは分譲主が駐車場専用使用権を留保したとして長年その駐車場から収益を上げているケースで、その権利は存在しないとして争っている事件、ふたつは店舗前の敷地に専用使用権を管理規約で設定されて使用料金を一方的に設定されたことに対して無効を主張しているケース、そして三つめは店舗前敷地の広い範囲に店舗のために専用使用権が無償で設定されたという主張に対して否定しているケースである。
この3件の訴訟はそれぞれに興味深いものがあります。こうした事件によって私の専用使用権に関する考えがまとまってきた感がします。
 どういうことかと言いますと、まず権利の内容を検討すること、その内容が他者の権利を制限しないかということ、管理事項か処分事項かということ、そのうえで権利の設定方法を考えるということになります。
例を挙げますと、バルコニー。専用庭、玄関ドアなどは他者の権利を制約するものではなく管理の問題と言ってよいので管理規約で設定できるものです。したがって4分の3の特別多数で設定できるものです。共有敷地の駐車場は誰かがその権利を取得すると他者の権利を制限することとなります。それは管理事項ではなくなりますので全員の同意が必要となりいます。敷地の問題は区分所有法の規律だけで対応できなところもあり、その場合は民法の規律によることとなります。つまり共有の規程によることとなります。

設定される時期について

専用使用権は分譲時に設定されていることが一般的です。ですからあまり設定については問題視していないことが多いと思います。原始管理規約に規定されています。
では、分譲後何年も経過して新たに専用使用権を設定しようとするときに組合では管理規約に盛り込めばよいという考えになりがちです。その時に考えてもらいたいのは曽野専用使用権の内容です。他者の権利を制約することとなれば規約では無理で全員の同意が必要ということです。
古いマンションではバルコニーの専用使用権の設定ができていないところもあります。そのようなところでは規約での設定が可能です。理由は管理事項ですし、他者の権利を制限しないからです。

以上です。