マンション管理適正化指針について

指針とは

 指針とは、一定の目的を達成するために準拠すべきよりどころ又は準拠すべき基本的な方向を示すこととされています。
 マンション管理適正化指針は、管理組合によるマンションの管理の適正化を推進するため、必要な事項を定めるものとしています。
 その指針には、管理組合が留意すべき基本的事項、区分所有者等が留意すべき基本的事項、管理委託に関する基本的事項が定められています。
 マンション管理の主体は管理組合であり、区分所有者であることを明確に示しています。
 区分所有者が留意すべき事項としては、管理規約、使用規則、管理委託契約、長期修繕計画等管理に関する事項に十分に留意する必要があるとされています。

 この指針によると、区分所有者は十分に管理規約を理解し、遵守することを定めていることとなる。

現実はどうでしょう

 ところで、現実はどうであろうか。
 マンションの購入者は管理規約、使用細則などを見ることもなく生活している人々がいかに多くいるかである。
 それでいて、管理会社に対しては何でもしてもらおうという考えを持っている。

 区分所有者がすべき事項が明確になれば、管理会社がやるべき事項は明確なものとなってくる。
 管理委託契約は管理会社のすべきことを規定しているものである。

私が今回指針を取り上げた理由

 次のような事件がありました。管理員の受付業務について管理委託契約にはいくつかの業務を定めています。ところが、専有部分の修繕工事申請書を区分所有者が管理員に提出したという事案において、裁判所は管理員が受け取った以上その申請書は理事長に提出することが管理規約において定めていても管理員がこれを受け付けた以上理事長に取り次ぐ義務があるとして契約内容を拡大解釈したという事件があったのです。
 管理会社という企業と管理組合ひいては区分所有者との契約において企業が優位に立っているから区分所有者の利益を守るべきと考えた判断かももしれません。
 こうした判断は民事事件の一般的な解釈としてはありうるかもしれませんが、マンションにかかわる事案においては違う見方が必要と考えます。それが今回の指針だと思うのです。
 つまり指針は前記したように区分所有者の責務を規定しているのです。管理規約を順守すべきことが謳われています。規約を無視した区分所有者を保護する必要はあるのかということです。一般の事案ではないということです。

やはりマンションで生活することは区分所有者はルールを理解してルールに沿って生活することが求められていることを心掛けねばならないということだと思います。
                                       以上