管理会社の寡占化と管理会社に求めるもの

管理会社の問題について

私が日ごろ感じていることを述べてみます。
大手から中小までいろんな規模の管理会社がたくさんあります。管理会社で管理組合に一番近くにいて実務を担当するのはフロントマンです。で、そのフロントマンの仕事の内容が2、30年前と比べると質的にも量的にも変化してきているように思います。
 
 以前は管理業務の名の通り、建物の維持管理が中心となり管理組合の会計や組合活動の中心である管理組合の総会、理事会の支援が主な仕事でした。もちろん現在も同じなのですが、管理会社の契約相手方の変化になるでしょうかね。契約の相手は管理組合ですが、それの実体は全区分所有者となります。区分所有者一人ひとりが契約相手方つまりお客さんです。ですから区分所有者からの連絡要望等については対応しなければなりません。その内容が多様化してきているのです。例えば部屋の鍵を持っていないので部屋に入れない何とかしてくれと℡があったりするのです。賃貸マンションならそんな事もあるでしょうが、分譲では対応する必要のないことです。
 
 管理会社はサービス内容の多様化と24時間対応を迫られています。要するにサービス内容の競争となります。
 そこには同じ管理委託料でどれだけのサービスをしてくれるのかと言う管理組合の要求とが関係します。何かにつけてリプレイスするとかいう区分所有者も多くなってきています。
 中小の管理会社が対応が難しくなってきているのは、24時間対応とか業務の多様化でしょう。少人数でやっているところは手が回らないと言うのが実情です。人員が確保できないと言う事でしょう。大手ほどスケールメリットがあることになります。
 
 そこで、合併が盛んに行われる事態となっています。そんななかで企業風土の異なる会社が一緒になると、日常業務における意思統一が困難となる事です。個々のフロントマンの仕事の仕方が違うのです。

寡占化が起こる原因

 私は管理業界の専門ではありませんが、需要の変動がさほどない業界ではないかと思います。かといって、これからも重要が右肩上がりになるというものでもないでしょう。現在リプレイスということで管理受託料の安値競争のような事が起こっている中で、中小の管理会社は非常に厳しい経営状態にあると思います。そんな中で吸収や合併がされたりするのでしょう。余裕のある経営も出来ないと言う事かも知れません。このようになってきた要因は、管理組合の要望に応えることになる低価格競争にもありそうです。
それと、管理業務の経験のある人材が不足していることにもあるのではないでしょうか。

寡占化によって何が起こるのか

 
 私の独断と偏見による見解を述べます。
 今の管理会社の状況は個々のフロントマンが担当する管理組合の業務をこなすのに精一杯のところではないかなと思います。研修制度が必要ではないかなと思います。でもそんな時間は無いので、個々フロントマンが隠れたところでスキルアップの努力をすることに期待すると言うのが企業サイドの考えでしょう。しかしこれではダメだと思います。では寡占化することでこの点が改善されるでしょうか?
私は難しいと思います。
 結局は管理会社の数が少し減った一方で、大手の会社がシェアーを増やすという事になるだけではないでしょうか。提供されるサービスの質は変わらないと思います。寡占化は管理会社の生き残り手段と言うものでしょう。

管理組合は管理会社に何を求めるべきか

 
 私の考え方ですが、マンションは長い寿命をもった建物です。管理会社をマンションのいわば主治医と考えてはどうでしょうか。つまりそのマンションの過去の修繕箇所がどこでどうしたのか、管理費滞納者のリスト、理事に就任した区分所有者、さらには過去の規約改正の時期やその内容など年数が経つと区分所有者も入れ替わり過去のデータが分かり難くなります。そんなことを思うと同じ管理会社であれば自分たちの管理組合のデータを保管してくれていますので、安心な訳です。簡単にリプレースと言うのは主治医を変える事です。
新しい主治医は担当してから何か問題が起これば過去のデータが分かりませんから・・・と言うことで責任はありませんと言う事になりかねません。私の考えはその管理会社がデータを保存している会社であることが前提となります。したがって、データを保存するシステムが整っていることが良い管理会社かどうかの一つの基準となるのではないでしょうか。
 リプレースを管理料やその時の問題解決の不満と言うことからだけで考えることには反対です。