管理会社や管理組合は人を管理しますか?

このテーマを掲げたきっかけ

最近続けて以下のような質問がありました。
マンション内の駐車場で車を置いていた居住者から誰かに車を傷つけられた。管理会社で補償をしてくれないか?
上階の居住者が変な音を出している。管理会社が行って止めさせてほしい。
これは人が起こしている問題ですね。車の傷は犯罪行為ともなりますが、音の問題は住み方のマナーといった事かも知れません。
管理会社も管理組合も基本は人の管理はしません。マンションと言う建物の管理維持という事です。もちろん、管理をしていく上において共同の利益に反する行為が著しいとその住戸を競売にかけられてしまう事もあります(区分所有法59条)。競売によって結果的には当該区分所有者はそのマンションを追い出されることになります。

この質問に対する私の答えは、管理会社は人を管理していませんから車の補償は出来ません。そして音を出している人のところに行って音を出さないようにさせる事もできません。と言う事です。
今回は、こうした事を言ってくる背景は何かと言うことです。

背景について

マンションに限らず世の中いろんなことを言ってくる人が増えています。私も相談を受ける内容に、エッと思わず叫びそうな事がありますね。マンションでは管理会社に言ってくる人が増えています。例として挙げました車の話ですが、これは車を駐車することは管理会社がその保管責任を負っていると思いこんでいるのでしょう。車を外敵から守ると言う事でしょうか。違いますね。車の駐車スペースを確保して当該契約者に使用してもらう事です。それ以上のことはありません。恐らく管理会社と言うネーミングでそのように誤解してしまったのでしょうか。それとも意図的に補償を言ったら管理会社が対応するかもしれんなと考えたのかも知れません。
マンションに住んで駐車場を使用するという事は、共用部分を使わさせてもらっている事なのです。共用部分には持分といって自分の権利もあることを知らない人が多いのではないでしょうか。そしてマンションの駐車場は営利目的だ貸しているものではありません。
車を傷つけられた損害賠償を求めるのは加害者しかいませんよ。そのあたり弁えてほしいな。

音の問題はかなりデリケートです。建物の管理ではありませんから管理会社の出番ではありません。いくら大きな音を出していたとしても建物が傷むことは無いでしょう。管理会社は手が出せません。とは言っても助言等はすべきでしょう。例えば、何時頃どのような音が聞こえますか?と言う事ですね。これは音源を確定させることでその音源が共用部分からのものであれば管理対象になるからです。
音は飛んできますし、聞く人によって色々に聞き取れるものですので、最初から決めつけないことです。

音に敏感な人も増えてきています。そんな人にとってはマンション生活は苦痛でしょう。その人が通常よりも敏感であると判断すれば音源を特定して改善を求めることは必要ありません。 

通常の人が受忍限度を超える程度かどうかを基準に考えてください。
ちょっと脱線したかも知れませんが、音の問題(特に居住者間の問題)は管理会社が対応することではないと言う基本線は維持してください。

勘違い

マンションで居住していく上で自分に障害になることはなんでも管理会社に言えば良いという考え方がどこかにあるのでしょう。マンションでのお互いの住み方は居住者間の問題です。
マンションとはどのような住宅なのか。そこに住むという事はどのような義務が発生するのかを考えないといけません。それをするのは分譲主たるデベさんの責任かも知れませんが、それをやってしまうと売れなくなったら困りますね。
                                                          以上