国交省が管理会社に業務停止処分を下した件について

処分の内容

本年4月14日に国交省は大阪ガスグループの管理会社に対して45日間の業務停止処分を下しました。停止されるのはマンション管理業に係る全ての業務になっていますが、既に受託しているマンションの管理業務は除かれています。つまり新規の業務は出来ないと言う内容です。
この処分について私はこう考えます。
通常、業務停止と言えば現に受託している業務をも停止することだと思います。よくあるのは食中毒を出して保健所から1週間の業務停止とかありますね。これは店舗での営業ができない事ですね。
又、弁護士会においても懲戒処分というのがありますが、処分の一つに2年を限度とする業務停止という処分があります。この処分が下されますとその対象会員は停止期間中は法廷に行けないし顧問契約も解消しなければいけなくなります。法律相談もできません。対象会員にとれば生活にもかかわってくる問題ですが、弁護士全体の社会に対する信頼を堅持するためには必要なこととなっています。ちなみにこの懲戒制度は弁護士会が自ら行う制度で、懲戒委員には弁護士と裁判官、検察官、そして学者が就任しています。
このように業務停止の内容は非常に重いものですが、管理会社に対する内容は前記のように甘いものとなっています。ただ、これには理由があるのでしょう。考えるに管理委託をしている管理組合からするといきなり業務ができませんとなった時に代わりの管理会社が直ぐに来てくれるものでもないので困ってしまうと言う事でしょう。
でも、それは違う問題ではないでしょうかね?と私は思います。

処分を受けることになった事案

約8年間にわたって管理員をしていた嘱託社員が区分所有者から管理費、積立金を現金で預かっていたのを着服横領したと言うケースでした。
このケースの問題点はいくつものチェックミスが重なったことで起こったことになります。管理会社としての入金管理の問題(会社によってシステムが違うと思いますが)、フロントマンが管理費などの入金状況について管理組合理事会での報告が行き渡っていたのかどうか、そして管理員が現金を預かる事を許していたのは何故か、区分所有者の要望でもあったのか。等々です。
私は、管理会社にすべての責任を負わせる事には賛成しません。管理組合ひいては、個々の区分所有者がもう少しの注意を払っておけばこのケースを防げたかも知れません。

独り言

今 管理会社は寡占化が進んでいます。そのために幾つかの会社が吸収される形で大きくなっています。会社の企業風土はまちまちです。そんな状況でフロントマンから事務部門までを適性にマネージメントしていく事が重要だと思います。しかし、日常の業務に追われて組織作りや個々の社員のスキルアップを図る余裕は無いよという事かも知れませんね。でも今回のケースは肝に銘じるべき事ですぞ。