1、マンションが競売物件として新聞等に出ているのを見られた方がいると思います。また、私のマンションでもそんな物件があると答える方もいますね。
最初にマンションの競売について少し触れておきます。
大部分は、住宅ローンの返済不能による競売事件です。管理費滞納案件の相談を受けた時に登記簿謄本(現在は、建物全部事項証明書になります。)を見ますと、住宅ローンの抵当権がついていることがほとんどです。滞納期間が3年を越えているようなところだと、この間に住宅ローンの返済はしているのだろうか?と思うのです。
抵当権者は金融機関が多く、裁判所に競売の申立をします。裁判所は、現況調査と言いまして、執行官に命じてそのマンションの状況を調査させます。具体的には、居住者がいるのか、部屋の間取りはどうか、管理費等の滞納はないのかなどを調査します。
そして、評価をするために不動産鑑定士に命じて評価を出させます。
その時に滞納管理費等を控除した金額を評価額、つまり最低入札価格を決める金額を決定します。
その後、入札期間が定められて最高値を付けた人が買受人となります。昔は専門業者が入札することが多くありましたが、昨今では一般の方の入札も増えています。
2、買受人が決まりますと、管理組合は前者の滞納分の請求をすることになりますが、すぐに支払ってくれる人と、値引きを求める人があります。
値引きを求める人には、執行官の報告書で滞納分があり、その金額を控除した評価の物件を入札したのだから、当然滞納分を管 理組合に支払うべきだとは思います。
この問題は、特定承継人に対する請求の問題となります。
3、一方、買受人とすれば、買受けた時からは自分が管理費等の支払義務者となるのですから、住んでいなくとも支払い責任は発生します。分譲マンションは、賃貸マンションと違い、住んでいなくとも管理費は支払われなければなりません。マンション以外の物件、例えば、戸建住宅やビルや土地などを買受ける場合は、固定資産税の支払いを覚悟すれば良いのですが、マンションは管理費があるのです。
買受の目的も色々とありますが、多いのは転売目的だと思います。転売できなければ買受人の負担も増えてきますので、買受人が管理費の滞納をはじめてしまうと管理組合としては何の変化も無かったことになります。ただし、買受人が管理費を支払ってくれることになると、管理組合にとってはその買受人は救世主になることは否定できません。
4 競売物件を管理組合で買い受けるために法人化するところもあります。それぞれの管理組合で対応のしかたを検討するのも良いかもしれません。
以上