マンションを買うと言うことについてー何を買うのですかー

1 マンションの区分所有者になることのスタートラインのことについての話になります。
 マンションを購入をするときに何を見るのかですが、多くの人は部屋の間取りと価格そして交通の便を含めた環境でしょう。つまり専有部分となる部屋を中心として考えます。共用部分に共有持分権があることなどは考え無いでしょうね。売買契約書では専有部分のことを重点的に確認をしているだけですね。重要事項説明書や規約からは共用部分について詳細に記載されていますが、権利(共有持分権)については明確ではないと思います。

そのことから、共用部分であるエントランス、外壁、柱 スラブ、屋上などについての関心度は当然低くなります。例えば最上階の部屋で屋上から漏水が発生したと言う事があっても一階の部屋の人は他人事ではないでしょうか。現実問題としては影響が無いですよね。しかし、屋上に問題があるわけですから区分所有者全員の共用部分が傷んでいると感じて自分の財産の問題だと意識してもらいたいのです。

 区分所有者はマンションという建物を共有しているのですが、その建物が大きすぎて共有と言うことを感じなくなっていると私は思います。

2 象徴的だと思う事を挙げてみます。
大規模修繕工事の時に、一部の区分所有者から工事業者に対して、工事の音がうるさいとか、ホコリがたちすぎるとか、さらに作業員がエレベーターに乗ってくるとかのクレームが出てくることがあります。工事を発注したのは誰ですか?管理組合が発注したということは区分所有者全員が発注したことですね。工事に反対した人がいたとしても総会で決まった以上は従うのがルールです。
マンションに隣接している住戸の住人が工事にクレームを付けるのならまだしも、発注者がクレームを付けるとは、ナンデヤネン、と思います。

戸建て住宅で屋根外壁の修繕工事を依頼した場合、その住人は工事業者に対して、ご苦労さんです、暑いのにたいへんですね、ちょと休憩してください冷たいものをどうぞ、と言うぐあいに業者が仕事をしやすいように環境を作ってあげるのが通常ではないでしょうか。駐車場の車にホコリがかかりそうなら、シートをかけるのは当然ですが、場合によっては発注者が車を避難させて作業をしやすくすることなどの配慮をするでしょう。

マンションと戸建てとで違うのですか?基本は同じだと思いますよ。区分所有者全員の財産である建物を修繕してもらうのですから協力や配慮をするのは当然でしょう。
共有しているということの認識が無く自分も発注者の一人であるという意識が無いのでしょう。

3 共有しているという意識があれば管理に対する意識も変わると思います。つまり基本は自分たちが管理するものであって、管理会社には自分たちの代わりに実際の管理業務を委託しているという事です。中には管理会社のことを賃貸マンションのオーナーの代理人のように考えている人がいますが、オーナーは貴方なのですよ。

4 以上のように区分所有者が共用部分に対する意識を持つことでマンションの問題は処理しやすくなるのではないでしょうか。

追記 共用部分と共有部分の違いについてという質問があれば、私は次のように答えます。
共用部分とは、部屋のことをいう専有部分に対応する表現で、建物の中で専有部分以外な共用部分という風に使います。一人が自由に使えるところと全員で使うところの区別です。さらに一部共用部分というものもマンションによっては存在しますので、使用する観点らの用語と理解してください。
一方、共有部分とは権利という観点からの用語と理解してください。
以上