管理規約の規範性(自治規範)について

管理規約とは

 区分所有法には3条で区分所有者は規約を定めることができること、30条では法律で定めるもののほかに規約で定めることができることが規定されています(条文省略)。
 規約事項という枠のなかでそれぞれの組合において管理のための基本ルールとなる規約を自由に設定することができます。今回の改正標準管理規約について議論されている条項についても各組合が独自に検討すればよいことです。

標準管理規約に規範性があるのか

 マンション管理士の平成27年度の試験で「標準管理規約によれば、適切でないものはどれか」「標準管理規約および民法の規定によれば、適切なものはどれか」など、7~8問の出題がありました。
これらの出題意図は、標準管理規約の条項暗記とその理解を求めるものと言っても過言ではありません。出題者は標準管理規約を規範性のあるものと理解しているのでしょうか。これは出題の仕方によるのかもしれませんが、標準管理規約がモデル規約であるならば、このような問いかけは少し疑問に思います。受験者は標準管理規約を勉強することになり有益なことですが、標準管理規約が規範性のあるものと自然に刷り込まれていくことにならないでしょうか。私は管理規約に関する出題をするとすれば、「以下の規約の中で効力がないものはどれか」という問題としてその中に標準管理規約の条項を一つくらい入れておくことが良いのではないかと思います。
 もちろん標準管理規約に規範性があると言っている人はいません。法律は規範性があるのですが標準管理規約にはありません。

標準管理規約に規範性が与えられることはあるのか

 管理組合において規約設定に必要な特別多数決議によって承認されると規範性が与えられます。もちろん標準管理規約ではなく組合で独自に規約条項を新設したり変更したりしたものも承認を得れば規範性は与えられます。
規範性は個々の管理組合における集会での承認により付与されます。標準管理規約は個々の管理組合が規約を変更するときに参考とするモデルであるのです。  私は常日頃から、標準管理規約はモデルですから、あくまでも参考ですよ。この通りやる必要はありませんよと言っていますが、多くの人が守るべきものという認識を持っているという現実があります。

区分所有者の意識はどうでしょうか

マンションを購入して管理規約をじっくり読む人はどの程度いるでしょうか。似たような例を出しますと、保険の約款があります。生命保険に加入するときに約款が渡されますが読みませんね。規約も読まないと思います。ただ、問題が起こった時には確認をするということになります。
規約は個々の管理組合での取り決め事項であって守らなければならないことが規定されているのです。
ところが、たまにあるのが、理事に選任されたのは区分所有者の夫であるのに仕事の都合で理事の仕事ができないということでその妻が理事として理事会に出席したり理事長にもなったりしていろんな職務を執行することがあります。これは規約上から言うと理事には区分所有者しかなれないという規約に反することになります。このようなケースは規約を軽視しているとしか言えないのです。規約についての意識があれば実態に沿うように理事の資格について配偶者も理事になれるという規定に変更すればよいのです。自分たちで規約を変更できるということを意識してもらいたいと思います。ただし、なんでも規約で決められるということではありませんので注意してください。規約事項と言いう区分所有法による制約があります。
                                                                     以上