標準管理規約改正案について  その一

新年を迎えました

2016年 申年となりました。年々松飾をする家庭が無くなっているなと感じます。そういえばマンションのエントランスに門松を建てているところは見たことがありませんがどうでしょうか?そんなお金どこから出るのですか、そんなこと管理組合で出来るのですか、ですね。でも、なんかあったら良いなと思いますがどうでしょうか。

標準管理規約の改正について

平成27年10月21日に国土交通省より標準管理規約単棟の改正案が発表されました。その概要については国交省のホームページをごらんになってください。
 私のブログにおいてこれから連載としてこの改正について触れていきたいと思います。まず第一回目はコミュニティ条項のことを取り上げます。その前に管理規約と言うもの、そして標準管理規約と言うものについて押さえておきたいと思います。

管理規約

 管理規約を設定出来ることは区分所有法3条、30条に定められています。これは、区分所有建物であれば規約を設定出来ることを認め(これを規約自治)、規約で定めることができる事項(規約事項)が決められています。
 規約事項について区分所有法は「建物又はその敷地もしくは付属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項」についてはこの法律に定めがなくとも規約で定めることが出来るとしています。
 ですから規約にどのような内容のことを盛り込むかはこの規約事項の解釈運用の問題となります。もし規約事項に抵触するような内容であればその効力は無いつまり無効となります。少しくどくなりますが規約は4分の3の多数決で設定変更できます。規約には拘束力がありますので区分所有者はそれに従わなければなりません。例えその規約に反対でも従わなければなりません。普通の契約は合意したからその契約内容に縛られるのですが、区分所有建物であるマンションは特別な法律関係が出来上がっているのです。それだけに規約事項も法律による枠づけがされているのです。
規約自治があるのだから規約の中身は自由に決められると誤解している方もいますが、今一度確認してください。

標準管理規約

モデル規約とも言いますが、昭和57年に住宅宅地審議会が建設大臣の諮問を受けて作成答申したものが最初のモデルとなりました。それまではデベロッパ-や管理会社が独自に作成をしていました。古いマンションの相談を受けますと、管理規約ではなく自治会規則と言う名称で内容は管理規約であるものに出くわすことがあります。
ある程度統一した規約が必要だと言うことでモデル規約が出てきたのです。もちろんモデル規約でなければダメと言うものではありません。拘束力は無いのです。ただし、ガイドラインであることは否定できませんので、無難に行こうと思うとモデル規約を利用してしまいますね。
モデル規約は何回か改正され、今回平成27年の改正案になったのです。現行のモデル規約には、管理組合の業務として「地域コミュニティにも配慮をした居住者間のコミュニティ形成」を明文化しています。この規定を見直そうとしているのです。これに対してマンション学会、管理業協会、全管連、日本マンション管理士会連合会は現行のコミュニティ条項の存続が望ましいとして提言を行っています。

コミュニティ条項に対する問題提起

何故国交省が改正案を示してきたのか?コミュニティ条項によって管理組合のお金の使い道に関してトラブルが増えてきたことが挙げられます。管理費で組合の忘年会費用の一部を賄うとかが現実問題として争いごとになってきたのです。まあ、国とすればモデル規約があることによって争いが起こっているとすれば問題だと認識したのではないでしょうか。
反対を唱える立場の考え方はどんなものなのでしょうか。さらに次回のブログに続くと言うことでお許しください。