業務から見えてくるもの

はじめに

私は弁護士の仕事をして34年が過ぎようとしています。一応マンションに関係する仕事は他の弁護士より多くやっていると思います。
しかしながら、マンションだけで事務所を維持することははできませんから一般的な民事事件家事事件をやらせてもらっています。刑事事件は、国選弁護事件を受任していましたが30年を過ぎた頃に辞退しました。刑事事件は今後受けないことにしています。
さて、今年を振り返ってマンションに関連する仕事の中身をお伝えしようと思います。とは言っても弁護士には守秘義務がありますので少しフィルターがかかった内容になります。

こんなことをやっていました

管理費滞納者に対する請求訴訟は常にやっていますが、今年取り扱った事件で特に変わったものはありません。
管理組合内部の紛争事件がありました。組合内部のことですから対応の仕方はデリケートなものとなります。一般の事件とマンションの事件の違いとして感じているのは、目の前の事件が解決したからと言ってマンションとの関わりは変わらないということです。つまり、管理費を滞納している人との間で滞納が無くなっても次から次から管理費の請求は発生するのです。一般の事件ですと借りたお金を返済すればそれで終了となり当事者間で積み残しとなる問題は基本的にはありません。抜本的に紛争の根が消えるのは区分所有者がそのマンションを出ていく時です。
次に 外壁タイルの剥離問題です。これは相談だけのケースや実際に管理組合に出向いて対応しているケースがあります。タイルについては今後も増えていくような気配を感じています。
そして、来月最終弁論があり、春には判決がでる予定の管理者解任訴訟をしています。これについては判決が出た時点で報告出来るかも知れません。
その他マンションの競売申立や賃料の差し押さえなど付随的手続きとしてやっています。

事件としては以上のような感じですが管理規約とか細則のりーガルチェックとか参考条項の提案などもやらせてもらいました。細則はペット飼育細則と言うことになりました。
ペット飼育禁止が以前(30年前の分譲)では主流でした。そうしたマンションの中で時代の変化や居住者の高齢化によってペットの存在に向かい合わねばならない時期に来ていると感じました。それぞれのマンションの問題として意見交換を密にして舵を取ってもらいたいです。
ほかには、管理会社のフロントマンからの色々な質問です。

私の問題意識

以前から言っているのですが、マンションに関連する法律や規約そしてガイドラインなどは既に存在する建物としてのマンションを前提としています。出来上がる建物についての法律は建築基準法を中心とする建物の法規です。建売住宅の集合体としてのマンションを社会に提供する事業主や施工業者に対する何らかのガイドラインが必要だと思います。マンションの運営がしやすいような建物を建てることや設備を備えることではないかなと思います。
それは今後のテーマだと思います。
では 皆様良いお年をお迎えください。