標準管理規約の改正 その2

コミュニティ条項とは何でしょう

 標準管理規約にコミュニティ条項が加えられたのは平成16年の改訂の時です。管理組合の業務としてコミュニティの形成を規定したのです。コミュニティ条項には「地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成」をと明文化されました。
 それが今回の改正案では「マンション及び周辺の風紀、秩序及び安全の維持、防災並びに居住環境の維持及び向上に関する業務」として、コミュニティという言葉が消えています。
 管理組合においては様々な事項を多数決で決定していかなければなりませんが、理想は全員合意です。合意形成をどのように図れば良いのか、そのためには常日頃からの居住者のコミュニティ作りが大切になります。大規模災害が発生した時のマンションの役割を考えてみようと言う動きがある中で地域をも含んだコミュニティ形成が大切となっています。マンションはコミュニティです。私のブログにおいても機会があれば触れています。
 地域コミュニティとは、人々が生活している場所を云い、コミュニティとは利害を共にする共同社会と言われていますが、マンションにおける生活はそのこと自体地域コミュニティを形成していると考えます。
 ただ、現行の標準規約における地域コミュニティは何を言っているのか。この定義は何なのかについては作成者の説明は分かりません。当該マンションの周辺の地域のことでしょうか。それともマンションそのものの共同生活を指しているのでしょうか。それともその両方を指していると考えれば良いのでしょうか。私はマンションそのものを指していると考えます。

 規約条項でコミュニテイ条項が無くなればコミュニティの事を考え無くとも良いのか、と言うとそうではないでしょう。むしろコミュニティは当然のこととして実践していくものだと思います。
 共有物と言う建物において共同生活をしていくのですから当たり前でしょう。平成16年の標準管理規約の改訂でコミュニティ条項を加えた国交省はどう考えていたのでしょうか。今回の改正に至った理由がはっきりしません。この10年間で現場では想定外の事が起こっているとでも考えたのでは無いかと思います。それで元に戻そうとして今回のコミュニティと言う文言を削除する動きになったのでしょう。

コミュニティについて

 戸建て住宅が集まった地域のことを、地域コミュニティと言うことについて異論のある人はいないでしょう。ところが、マンションにおいては建物という共有財産を管理していくことしか考え無くとも良いと言う思想を持つ人もいます。しかしそれには賛成できません。なぜならば、マンションも人が生活する場所であることは間違いのないことです。それも多数の住戸が一定の場所に集まっているのです。平面の広がりがある従来の街と比べると平面に階層が加わったより立体的な街を形成していると考えられるのです。
そうするとマンションにおいては、地域コミュニティは当然のごとく存在するものではないでしょうか。

 管理規約においては、物の管理のことを中心として規定されていることで地域コミュニティについてはおろそかにすべきではないこととして管理組合の業務として明記した現行標準規約は当たり前のことを規定したと言えるのです。
  一方で、地域コミュニティは、自治会の役割であるとする考え方があります。しかし、大きく異なるのは、マンションでの地域コミュニティは、共有関係という結びつきが中心にあるために、管理組合の業務とコミュニティ形成は不可分の関係にあると思うのです。
 組合での合意形成が問題となる時に合意形成をより良い充実したものにするためには、日常のコミュニティ形成が重要であるのです。

この問題はさらに次回につづきます。