管理費滞納者に対して不動産強制競売をした事例について

債務名義の取得

通常の場合、滞納者に対して判決をもらいます。この手続で和解などの可能性を探りますが駄目の場合にマンションの部屋の競売を求めることとなります。

不動産競売

管理組合は滞納者の部屋に抵当権などの担保権を設定していませんから、強制競売申立てをします。手続きは弁護士に依頼することが多いと思います。必要書類が多くなるので依頼したほうがよろしいかと思います。
この競売を申し立てるときは裁判所に予納金を納めねばなりません。金額は裁判所によって少し異なりますが80から100万円といったところです。この予納金は競売で買い受け人があれば回収できることとなります。

滞納者から競売を取り消してほしいと言われたとき

この事例が最近2件ありました。
この申し入れがあったときの対応はいくらの金額を管理組合に支払ってもらえば取り消しをするのかと言うことです。
私は、判決で認められた金額、損害金も含みます。判決後の未払金、競売の申し立てに必要となった金額を一括で支払ってもらえれば取り下げをすることとしています。この基準で一つの事案では一括で支払ってもらい取り下げをしました。
細かい話ですが、予納金を80万円納めていますと競売の手続きの中で執行官の費用とか不動産鑑定士の鑑定費用とかで支出金額が出ていますのでその実費を引かれて予納金の残金が返還されますので、滞納者から支払ってもらう金額を決めるときには神経を使います。今回は滞納者に予納金全額を支払ってもらい後日裁判所から返還金が確定した時に差額をこちらから返還して事件は終了しました。
もう1件は,同じように取り下げ要請があり、管理組合の理事会で事前承諾を取り付けていたのですが、条件が整わず一括弁済ができなかったことで執行が続行されて入札期間を迎えることとなりました。
この事件ではこんなことがありました。
この滞納者はローンを組んで購入し、30年を経過していたのですが、金融機関(保証会社)からの債権届が1500万円の求償債権とされていましたので、裁判所に問い合わせますと裁判所は1500万円があることを前提にすすめますとの回答で、実債権については債権者が金融機関に問い合わせて調べてくださいと言うことでした。私は金融機関に問い合わせて実債権の届をしてもらい、ようやく競売は進むこととなったのです。30年もローンを払っているとほとんど残額は無いと感じたことからのスタートでした。
競売事件において神経を使った2例でした。
マンションでの競売は避けたいですね。
                                                  以上