専有部分の修繕等に関する使用細則 床フローリング仕様について

モデル細則9条

施工基準についての規定があり、その中に床フローリングの仕様に関して定めることが出来るとしている。
今回はこの施工基準について考えることとします。
フローリングについては、騒音問題が起こるきっかけになりマンションの3大トラブルの一つとなっていました。後の二つは駐車場とペットです。
当初のマンションは畳の部屋とカーペットの居間が基本形でした。カーペットにダニがわくということでフローリング仕様に変えていったところ、遮音性能が落ちることで下階の住民がある日突然音が気になりだしてトラブルに発展したというものです。当時は専有部分のリフォーム工事については管理組合に届けるとかのルールが明確でななく専有部分内は自由に工事ができるという感覚でした。
今日では管理規約で専有部分の改修工事については理事長の承認を求めることとなり、専有部分の修繕に関する細則が制定されています。
そんな状況で細則9条を考えます。

施工基準

細則で基準を決めておくこともできますし、別途総会で決めることもできます。今回はフリーリングの施工基準を考えます。現在一般的には遮音性能LL45の性能を有するフローリング材を使用することと定めています。こうした制約を課すことが出来る根拠は何だろうかと思ったのです。本来専有部分内の工事であって共用部分にはほぼ影響がないのにどうしてか。
そこで標準管理規約を見直すと「他の専有部分に影響を与えないように」という文言が入っているのです。つまり専有部分内の工事で躯体部分、給排水管部分と言った共用部分との取り合い部分の工事でなく、専ら専有部分内の工事であってもその工事によって上下左右の専有部分に影響がある工事には管理組合が制約をかけることが出来るというルールとなっているということなのです。
ここで規約事項を見てみます。区分所有法30条に規約で」決めることが出来る事項を定めています。専有部分についても管理や使用が区分所有者全体に影響を及ぼすような事項については規約事項になるという解釈がなされています。
フローリングは騒音問題の発生源になるかもしれません。全員が好き勝手に床のフローリングを改修すれば全員の問題に発展する可能性があります。このように考えると規約事項となります。そして規約で上記の文言を入れて使用細則で施工基準を設けるという流れであれば、私の問題提起は解決することtなります。

そのうえでの問題点について

騒音問題と施工基準はどういう関係となるのか。施工基準を守れば騒音問題は発生しないのか?
これは次元の違う話と見ます。騒音問題は加害者と被害者という対立関係の問題です。そして裁判所では受忍限度を基準として責任を判断しています。ということは集合住宅では他の住戸の生活音等が聞こえることは事実として存在することを前提として、受忍できる範囲か否かで判断しているのです。
施工基準はあくまでもそのマンションの床の遮音性能の基準値を確保しようとするもので、床と言う建物の一部の客観的評価を与えるものという理解をしたいと思います。

コロナ禍での音問題

在宅時間が伸びたせいか、あるいはコロナ禍のストレスなのか。
音の問題が平時より増えて来ているように感じます。音問題は難易度の高い問題で、私ら弁護士にとっても解決までの道のりは遠いものです。
                                                以上