現状について
管理規約では管理費等を期日までに支払わなかった区分所有者に対して遅延侵害金として年14.6%の損害金を加算して請求することが出来ると規定されていることが一般的になっています。この率は住宅ローンの遅滞の場合の損害金の設定を参考にしたのが始まりだと私は思っています。と言うのも私がマンションに関わり始めた35年くらい前には既にその内容がありましたし、当時は定期預金の年金利も5から7%ありましたから違和感はありませんでした。
ところがバブルが崩壊して30年近くになり定期預金金利は無いに等しくなってから久しいのですが管理規約の損害金は変わりません。もちろん管理組合によっては年10%と規定しているところもあります。
私は、現状の損害金の定めはどうなのかなと思っています。
業務として滞納者に対して管理費の請求訴訟を担当するのですが常に損害金も請求します。この金額がかなりのものになっています。で、和解による解決の場合は損害金をかなり減額して滞納分を支払って貰うことにしています。損害金については規約の定め方が「請求できる」という表現ですので管理組合の裁量が働くことになりますから柔軟に対応しているのです。
とは言っても14.6%はやはり高いと思うのです。
民法改正で損害金が年3%に
、
改正民法が2020年4月1日から施行されます。そして現行年5%が年利3%に引き下げられました。民法の損害金規定は契約等で損害金の定めがないときに適用されますので、規約で定めておけば規約優先ですので、改正民法が施行されたからと言って慌てることはないのですが、基本法において5から3に変わったということは社会経済が大きく変わったという反映であるのです。
実務にかかわっている者として規約の14.6%はいかがなものか常々思っています。滞納する人が悪いと言ったらそれまでよ。ということかも知れませんが、適正なペナルティを考えると10%が上限ではないかと思います。
まとめ
今回は些細な事かもしれませんが、規約を見直す時に検討されればどうかなと思います。皆さんの中では滞納者を増やさないために損害金を多く掛ける必要があるという方もいるかもしれません。しかし、そうした効果はごくわずかだと思います。それぞれの管理組合で検討してみて下さい。