管理費の滞納者に対する請求(訴訟も含めて)について

管理費の滞納問題

 この問題はマンションにおける永遠のテーマですね。家賃と違い支払わなくともただちに追い出されることがないという変な安心感があるかもしれません。しかし、支払っているほうからすると不公平感は出てきます。滞納者が出ないこと、できるだけ少なくすることが管理組合の仕事となります。
 しかし、実際問題としてたまった管理費を全額回収することは非常に困難です。

滞納者に対する法的手続きについて私がやる手順を説明します

1、内容証明を弁護士名で発送する。
2、その後は通常訴訟となります。
  相手方が裁判所に出頭しなければ判決(欠席判決と言います)になります。相手方が出頭した場合は、滞納金の分割の話をして和解ができることもあります。
  分割の回数とか年数ですが大体50回分割が上限でしょうか。5年までということですね。
  私は、マンションの管理費回収訴訟は着手金だけでやらせてもらっているという感じです。
3 支払い督促については書類の作成はしますが、代理人としてはやりません。何故かというと相手方が異議を出すことが多くて結局通常訴訟に移行するからです。裁判所から督促命令の通知が債務者に届くのですが、その封筒の中に異議の申し立ての書類が入っていますので債務者としては容易に異議申し立てができるのです。
   
4 少額訴訟は60万円以下の事件ですが、裁判所に出頭することになりますので、私は最初から通常訴訟としてやります。少額訴訟としての手続きはしていません。少額訴訟においては相手方が通常訴訟でやってほしいとなれば通常になります。
6、判決をもらって、不動産の差し押さえ、つまり競売申立をするときは預納金として大阪では90万円が必要です。

不動産競売について説明します

  普通の場合滞納者はローンのために抵当権を設定しています。そんな時に抵当権者に競売を続けてよいかどうかを尋ねることになります。ここで言っておきますが管理費の滞納者がローンも滞納しているとは限らないのです。むしろ、ローンはしっかり返済している人が以外に多いのです。そして抵当権者の承諾がないと手続きはストップしてしまいます。また滞納者に税金の滞納多くありますと、競売しても余剰金が出ないことがあるのです。そうなると競売の意味がなくなりますのでこんな時もストップしてしまいます。
こう見てきますと、なかなか競売で簡単に処理できるものでもないということが分かります。

最後の手段の59条による競売請求

最後の手段として区分所有法59条による競売請求手続きをとるかどうかを管理組合で決めてもらうことになります。

訴訟をする意味は管理組合としてのケジメをつけることと滞納は管理組合に迷惑をかけることになるということを全区分所有者に知ってもらうことにあります。
                                                            以上