役員報酬について
管理組合の役員のなりて不足が深刻化しています。そんな中で役員を引き受けた人のために定額の報酬を支払う組合が増えています。一般的には輪番制によって誰れもが担当することとなる役員だから報酬を支払うという発想はなかったといううことです。そして自分のマンションだということもあります。
しかし、その輪番制が崩れてきている現状が一方にはあるのです。そうなると、役員をする人は役員をしない人より役員になる回数が増えてきます。その不公平感を払拭する目的もあると思います。
また、役員の仕事は結構複雑で時間も取られて大変だということもあって報酬を支払うということになってきているという面もあります。
報酬の金額は年間数万円というものだと思います。
報酬をもらう役員と管理組合との関係は
そもそも役員と管理組合との関係は委任関係にあります。委任関係は無償でも成立します。その関係が有償となりますと委任側も受任側も要求される任務の質が高くなるということは説明を要しないと思います。
管理組合からすると役員の任務についてはより注文を付けるでしょうし、役員になった人は役員の任務をより遂行しようということになるのではないでしょうか。
所謂 善管注意義務が役員にはより明確に課せられるのではないかなと思います。
これを強調すると役員のなり手がますます減ってしまいそうですが、普通のことをやっていれば善管注意義務違反にはなりません。
役員の報酬を決めると管理組合がすべきことが明確になるのではないでしょうか
どういうことか?私は最近管理組合の傾向が大きくぶれてきていると感じているのです。それは管理会社に過度に依存する管理組合と管理組合つまり役員が過度に主体性を発揮してなんでもやってしまおうとする組合とに大きく左右にぶれていると感じています。ちょっと行き過ぎている感じなのです。
あるべき姿は、管理組合が主体性をもって管理会社には総会理事会のサポートから建物の管理全般を担当してもらうというものです。つまり管理会社との役割分担をバランス良く取るということでしょうか。ところが管理会社にすべてを任せる主体性の無い管理組合が多く出てきていると感じていますし、主体性がありすぎる管理組合(この場合は役員の個性にもよりますが)も目立つようになっています。
役員報酬を決めることは管理組合の主体性を明確にする働きがあるのではないかと思うのです。区分所有者の中に自分たちの財産であるマンションを管理維持していくのだという意識があることが大事なのです。今まで管理費は管理会社に払うものだと考えてきたのが、役員になった隣人にも払うものがあるのだという意識になると何か考え方が変わるかなと思うのです。
残念ながらいまだに分譲マンションの管理と賃貸マンションの管理を同じものと思っている人が多いのですが、その意識を変える役目があるのではないでしょうか。
私の考えについて
私は役員報酬については消極的に考えていました。
しかし、それは理想であったのです。こうあるべきだという考え方で報酬を捉えてきました。理想は遠かったといわざるを得ません。
見解を変更します。役員報酬は組合で決めてください。その際には「なぜ報酬規程を入れるのか」について議論してください。自分たち区分所有者が主体的にマンションの管理維持に関与するのだということを知るために。