理事会について

理事会について管理規約ではどのように定められているのか

私のブログも90本を超えてきましたが、理事会についてあまり触れてきませんでしたので少し述べることにします。
区分所有法には理事会の規定はありませんので、規約でどのように規定されるのかになります。以下で規約を見ていきます。
標準管理規約(2016年)の第6章管理組合の第5節に理事会についての定めがあります。
 第5節には、51条(理事会)、52条(招集)、53条(理事会の会議及び議事)、54条(議決事項)、55条(専門委員会の設置)が規定されています。
 それぞれのマンションにおける管理規約においても同じような規定が置かれていますが、よく条項を読むと、異なる内容ではないかと思うものもあります。
 今回は理事会の役割とは何かについて、規約を基にお話したいと思います。

 皆さんのお手元に規約があれば見て下さい。その規約の中で理事会の議決事項とあるところを見て下さい。
 なかには、理事会について1箇条しか定めがないというものもあります。
私の手元には、議決事項として以下の定めがある規約がありますので、紹介します。
<A組合>
 (1)収支決算案、事業報告案、収支予算案及び事業計画案
 (2)規約及び使用細則等の制定、変更又は廃止に関する案
 (3)長期修繕計画の作成又は変更に関する案
 (4)その他の総会提出議案
 (5)第17条(専有部分の修繕)の承認又は不承認
 (6)第67条(理事長の勧告又は指示)の勧告指示
 (7)総会から付託された事項

<B組合>
   理事会は、総会の決議及び規約等に基づく組合の業務を遂行するほかに、理事会が必要と認める事項を決定し、これを処理する。

 以上は2つの規約ですが、はっきり違うのは、B組合は「理事会が必要と認める事項を決定し、これを処理する」としているのに対して、A組合は理事会で決議できる事項が限定されているということです。

 では、標準管理規約を見てみましょう。
 54条に議決事項があります。
第54条 理事会は、この規約に別に定めるもののほか、次の各号に掲げる事項を決議する。
(一)収支決算案、事業報告案、収支予算案及び事業計画案
(二)規約及び使用細則等の制定、変更又は廃止に関する案
(三)長期修繕計画の作成又は変更に関する案
(四)その他の総会提出議案
(五)第17条、第21条及び第22条にさだめる承認又は不承認
(六)第58条第3項に定める承認又は不承認
(七)第60条第4項に定める未納の管理費等及び使用料の請求に関する訴訟その他法的措置の追行
(八)第67条に定める勧告又は指示等
(九)総会から付託された事項
(十)災害等により総会の開催が困難である場合における応急的な修繕工事の実施等

と規定されています。
 A組合と比べますと、未納管理費の請求に関する事項や、災害等の場合の修繕工事の実施とかが明記されています。
 以上のように、A組合、B組合そして標準管理規約を比べてみましたが、全てが同じというものでもありません。

理事会で決めることが出来る範囲は決まっていないのか

 理事会ができる範囲は決まっていないのでしょうか。
 理事会の機能を充実させようとする考え方からは、より広い範囲で理事会の権限、つまり理事会での議決事項を広げることも可能となります。
 つまり、そのマンションの自治規範となる規約の定めによって、そのマンションの特色は出せるということになります。しかし、規約においてなんでも理事会で決定できると定めることには限界があると思います。区分所有法や規約で総会で決定するとされている事項以外の事項で総会で決めるべき事項かどうかを実質的に検討してみて理事会での決定が機能的であり不利益を与えないことであれば理事会で決めることができると考えてよいかもしれません。

問題は無いのか

理事会の権限を強くすると、理事に就任した人の善管注意義務が厳しく求められます。そして、権限を持つことで自己の利益とか独りよがりな行動に出る理事が増えてくると弊害が多く出てきます。結局はバランスの問題になりますが、それも個々のマンションで合ったものを見つけるしかないと思います。
以上