漏水事故について

1 台風19号が本土に上陸しようとしています。さて、マンションでの漏水事故は雨の漏水と上階からの漏水ですね。これらのケースについても相談を受けた事があります。雨漏りについてはその原因箇所の特定は非常に難しいです。屋上防水の劣化か、コンクリートの貫通クラックか、その場所はどこか。上からの漏水とは限りません。台風などの強風で横殴りの雨の時に外壁のクラックから浸入することもあります。また上階からの場合は居住者の水の出しっぱなしによるものから排水管の劣化や施工不良など様々です。
2 ここでは、漏水個所が共用部分か専有部分かによって対応が違ってきますので、そのあたりの事を説明します。
  雨漏りの場合は共用部分と考えて間違いないでしょう。屋上、外壁からのものですね。それと区分所有法9条に「建物の瑕疵は共用部分の設置または保存に瑕疵があるものと推定する」との規定がありますので、被害を受けた居住者は原因箇所の特定ができなくともこの条文を根拠にして管理組合に対して損害を請求できます。管理組合はこの請求に対して保険で対応することになります。この保険については又別の機会に話しましょう。
  上階からの漏水で相談を受けたケースでこんなのがありました。空室に購入希望者を案内した際に流し台の蛇口を開けたが水が出なかったため閉めずに部屋を出たところ、そのあと業者が水道の元栓を開けたために水が出っぱなしになりあふれ出たものや、洗濯機のタイマーが停電のために機能しなくなって水があふれたものや、排水管の接続不良で水が漏れたものなどいろいろです。上階で漏水した時の現象は一旦水が溜まりコンクリートスラブを通して階下にしみ出るように降水し、ぽたぽた落ちることもあります。滞留している水がなくなるまで降水は続きます。被害に遭った部屋は大変なことになります。この上階からのケースは専有部分において発生したと考えるのが普通ですから交渉は上階の居住者との間になります。しかし排水管に問題がある場合は排水管が共用部分ではないのかを確認する必要があります。共用部分である給排水管の劣化が進行していたかも知れません。人間でいうところの動脈硬化が配管の中で起こっている場合が多いです。共用部分なら交渉は管理組合が相手となります。
3 台風による大雨が心配です。台風一過マンションの状況をチェックしてみてください。お気をつけて。