管理規約についての一考察というテーマで報告します

マンション学会千葉大会があります

4月23日の分科会で私が報告することになっています。このテーマは例の標準管理規約の改正でコミュニティ条項が削除されることを契機にマンション学会の所属委員会から言われて報告することになったのです。何を書いたらよいものか困ってしまいました。この問題は多くの方が意見を述べておられますので書きにくいものでした。マンション学54号に掲載されますので見ておいてください。
で、管理規約についてチョット違う角度から述べてみようと思います。

管理規約の法的性質について

法律行為とは意思表示を要素とする私法上の法律要件である、とか難しいことを言ってすみません。この法律行為の代表的なものは契約です。そして単独行為(遺言など)合同行為などがあります。管理規約は合同行為です。
管理規約は多くの当事者が一定方向に共通の意思表示を示して合意したことで成立し効力を持ちます。要するに管理規約はそのマンションの区分所有者が決めることなのです。いわば私的自治なのです。その内容については規約条項に記載されている文言を読み取ればよいのです。その文言で意思表示が合致しているのですから。
規約の解釈で問題となるのはペット飼育です。玉虫色の文言として有名です。「他人に迷惑となる犬猫の飼育は禁止する」なんかです。迷惑にならなければ飼育可能ではないか?いや犬猫はそもそも迷惑なので絶対禁止だ。という具合に議論があるのです。これなどは日本語の問題だと思います。
前回のブログにも書きましたが、担当した事件の裁判官が規約の解釈をしたのです。それも文言を解釈したのではなく、この規約では管理費を支払わない区分所有者を認めないとしていない。だから特定の区分所有者が管理費を支払わないと決めることは規約違反ではないとしたのです。規約には特定の区分所有者が管理費を支払わなくともよいなどの文言は一切ないのです。文言のないところを解釈することは私的自治に裁判所が不当に介入することになります。そんなことをされてしまうと当事者の合意が無視されてしまいます。
契約に置き換えて考えてください。契約当時者間で争いが起こったとします。契約条項ではどうなっているのかが最初に考えることです。そんな時に契約文言には明確ではないが、代金の支払いについて支払わなくともよいとの解釈もできるとか裁判官が言い出したら大変ですよ。
管理規約の解釈は文言をどう読み解くのかだと思います。管理規約も契約も解釈の余地が入ることは避けたいのです。管理規約で大規模修繕とか共用部分の変更で著しい変更かどうかという評価の問題はありますが、これらも文言があるのです。

管理規約は法律か

管理規約は法律ではありません。そして一つの基本パターンがあってそれに合わせなければならないものでもありません。
上記の裁判官は管理規約を法律に準ずるものと勘違いしたのではないかと思います。だから必要以上に解釈をしてしまったのです。これ裁判としては違法だと考えます。
裁判官も管理規約を法律に準ずるものと考える(これは私の感想です)とすれば多くのマンションに関わる人々は法律のように思うでしょうね。
でも全く違います。管理規約は、区分所有法で決められた枠に縛られ、衡平に反しないように作る必要がありますがそれに反しない限り基本は自由です。もし、管理規約を解釈するとすれば区分所有法の枠ないか衡平かといったことです。それ以外はその規約に書かれている文言を読み取ることです。

くどいようですが標準管理規約の意味について

標準管理規約に拘束力はありません。あくまでも参考にする規約です。それぞれのマンションで適したものを作ればよいのです。区分所有者の考え、意思を表現すればよいと思います。コミュニティ条項を入れることもよし、入れないこともよしなのです。
うちのマンションの管理規約は標準管理規約に準拠していないからおかしいのと違うの?という考え方は捨ててください。みんなで考えていきましょう。
以上