集会招集 5分の1による場合の問題

区分所有法における集会招集

マンションの最高意思決定機関は集会(総会と呼んでいるので以降総会という)です。その総会を招集することができるのは誰かという規定となります。
その中に区分所有者の5分の1以上で議決権の5分の1以上を有するものは、管理者に対して会議の目的たる事項を示して集会の招集を請求することができると定められ、もし管理者が招集しなければ請求者は集会を招集することができるとあります。
手続きは5分の1の区分所有者が連名で招集請求を管理者に提出することから始まります。そして管理者が招集しなければ、請求者が連名で招集をかけることとなります。

何が問題か

この規定はそのマンションで総会で決めるべき事項があるときに管理者(理事長)が総会を開かないあるいは開けないという場合に総会を開催する機会を与えるためのものです。
私の経験ですが、5分の1招集は理事長解任決議を求める場合が多いと思っています。
ところが最近この規定を使って既に総会で承認された事項を再審議する目的に
行使するという事案が出てきています。
区分所有法には5分の1招集について、その目的について制限をかけていません。そのために何でもできるという風に解釈することになるのでしょう。
しかし、そこには自ずと制限はあると思います。

私はこう考えます

前記しましたが、この規定は総会で決めることが必要だとする事項が出てきたときに使われるものであるということが前提として存在します。ですからすでに総会で承認された事項を再審議するためには使用できないと考えます。総会での審議については一事不再理の原則があるのです。区分所有法や管理規約には明文化されていませんが当然のことと考えます。
では、実際に招集がかけられた時にはどうなるのでしょうか。

現実問題

再審議を求める招集を理事長に求めてきたときは、理事長は招集をしないと回答(理由は再審議はできないこと)する。これに対して招集を求める区分所有者らは連名で総会招集をかけてきます。総会当日は理事長としては再審議はできないということを説明することになるでしょう。そして総会で招集権者の議案が承認されれば、それは有効になるのでしょうか?例えばその議案が改修工事のことであれば工事業者との契約に影響が出ます。
私は原則無効と考えます。
 そしてもう一つの問題があります。5分の1請求を招集権者によって行う場合にその準備作業は誰がするのか。管理会社のサポートはあるのかということです。招集には管理会社のサポートは無いと考えますが、実際の総会でのサポートは有りと考えます。管理業務の範囲の問題ともなります。

以上 まれな問題ではありますが、増えてくるようにも感じます。