管理組合でできることとできないことー規約事項、総会での決議事項ー

管理組合でできること

管理組合でできることは、マンションの建物敷地等の管理、使用に関する区分所有者間の取り決め事になります。これはマンションにおいて多数決で決めることができることと深い関係があります。つまりマンションは多くの区分所有者による共有関係がそもそも存在しますので民法の規定では共有の規定が適用されるのです。そうしますと、処分とか変更は全員合意が必要になります。その原則を区分所有法によって変更し多数決で一定のことができるようにしたのです。区分所有法はマンションの管理等に限定して多数決を認めたものですので区分所有法で認められていない事項は共有規定の適用になります。(建て替え規定は例外的な規定となりますが別の機会に触れることにします)
管理組合でできることつまり多数決でできることには限界があることを認識するべきです。

ある勘違い

マンションには管理規約があり総会があります。そこには多数決原理が働いています。マンション生活に慣れてきますと総会で承認されればなんでもできるという考え方を持った区分所有者が多くなってきたような気がします。マンション自治とかの言葉の影響でしょうか?
裁判所も勘違いをすることがあります。こんなことがありました。修繕積立金を支払っていなかった区分所有者に対して過去の滞納分を免除する総会承認があることで免除を認めた判断がなされたのです。管理組合に支払うべき債務を免除するには全員の同意が基本的には必要です。これは民法の共有規定が適用されるのです。管理組合だからなんでも総会で決められると考えるのは誤りです。

また隣地の境界確認を求められたときに理事長が印鑑を押して済ませようとすることがありますが、これも敷地は全員の共有ですから全員合意が必要です。

このように多数決ではできないことが割とあるものです。勘違いというのでしょう。区分所有法で多数決が認められていることによって誤解するのだと思います。あくまでも共有が基本にあるということを意識してください。

規約事項について

標準管理規約からコミュニティ条項が削除されました。ではコミュニティ条項はそもそも規約事項として有効だったのでしょうか。
私は、管理のための取り決めには合意形成が図られねばならないと思います。合意形成の過程には区分所有者間のコミュニティが形成されていることが重要だと考えますのでこの条項は管理に関する事項に密接に関係すると解釈し有効と理解しています。
各マンションにおいて新たな規約事項を考えるときは今回説明しました枠の中にあるか否かを検討してみてはどうでしょうか。
                                                                 以上