マンションの建替え等の円滑化法が一部改正されたことで影響を受けるもの

改正建替え円滑化法が平成26年12月24日に施行された

この改正法は耐震不足と認定され除却の必要性が認められたマンションは5分の4の多数によって敷地の一括売却が可能となって建物を除却出来る事になったというものです。
耐震促進化法との関係もありますが、マンションの管理組合において耐震診断を受けることの承認が取れるのかどうかが第一関門だと思います。今後の実施例を注目したいところです。
この改正法のニュースがでた時に株価が急上昇した企業がありました。その企業は中古マンションを取り扱っているところです。市場が反応したと言う事ですね。
この改正は誰のための改正なのでしょうか。

国家の政策

日本列島は地震列島であり津波も起こるという国土環境にあります。道路や橋梁そしてトンネルといったインフラについても老朽化が進み劣化していると多くの箇所で叫ばれています。このようなインフラは国や地方自治体に管理責任がありますので定期点検から補修については国などの予算で執行していく事になります。そうした動きは出てきています。
一方、マンションは個人所有の集合体ですので維持管理は個人の集合体である管理組合が為すべきものです。しかし、マンションのなかで昭和56年以前の旧耐震基準で建築されたものは現在の耐震基準には適合していない建物が存在します。そうしたマンションが地震によって倒壊した場合に周辺の道路などのインフラや人の生活に及ぼす影響を考えた時に事前対応ができればそれに越したことは無いのです。そこで国は、民活を利用することを考えて今回の改正法になったものだと思っています。

敷地の一括売却が5分の4で可能となったことの影響

ここからは私独自の見解です。と言うかこうなってはいけないなという問題提起ですので、なんの根拠もありません。
マンションの敷地と建物は多数の区分所有者による共有財産です。管理については多数決議によっていろんな事が出来ます。建替えについても5分の4で可能となる規定が区分所有法で定められています。
建替えは解体がつきものですが、この解体は処分行為です。本来処分行為は共有財産の場合、共有者の全員が賛成しないとできません。これ民法の基本です。区分所有法の建替え制度については建替えの目的などを考えて問題なしとされています。
今回の改正法が施行されたことで処分行為が多数決で出来るんだと言う意識を持つ人が増えないだろうかと心配するのです。これが私の根拠のない問題提起です。
例えば、規約で共用部分の変更規定のところに共用部分の処分については4分の3で可能とかの定めを取り入れて規約とおり敷地の一部を売却したり出来るのだと言う考えがまかり通るのではないだろうかと思うのです。
処分行為を多数決で出来ることは例外なのですが、例外規定が増えることでそれが原則化しないかと言う危惧感を持っているのです。
人はひとたび自分なりの考え方を取り入れてしまいますと、その考え方を修正したり変更したりすることは難しくなるものです。
マンションの仕組みは区分所有法が制定された昭和37年当時は民法の共有関係であることが強く維持されていたのですが、今日においては薄くなってきた感を否めません。                                     
以上