共用部分と専有部分について

1、基本的なことを確認します

区分所有法2条には、専有部分とは区分所有権の目的たる建物の部分とあり、共用部分とは専有部分以外の建物の部分とされています。
又管理規約には対象となる物件の範囲として敷地と建物と付属施設を記載し、さらに共用部分の範囲が明記されているものが一般的です。
共用部分と専有部分の区別はマンションに居住する区分所有者においても、マンション管理業者や管理会社のフロントマンに至るまで一応出来なければなりません。管理会社が管理するのは共用部分ですからどこまでが管理対象かについて認識する必要があります。
マンションの教科書的な書物には専有部分について、上塗り説が一般的な見解として紹介されています。つまり部屋の内壁を塗料で塗られている場合はその塗られているところまでが専有部分であるということです。塗っている下はコンクリートすなわち躯体部分になって共用部分です。壁はどうでしょうか。壁は戸境壁(構造壁になっているところもあります)や外壁(構造壁)さらに廊下との間の壁と言ったようにいろいろあります。
最近こんな議事録を見ました。建物内で専有部分と内部廊下との間にある壁について雑壁だから専有部分ですと言った記載があったのです。これは共用部分でしょう。おそらく構造壁ではないと思いますが、専有部分だったら勝手に取り壊す事が出来てしまいますね。取り壊したら部屋の形は変わりますね。それと同時に廊下という共用部分の形も変わってしまいますね。これは大変おかしな事です。
マンションは建築された建物をその形を前提として共有しているものですから、基本として形が変わってはいけないのです(共用部分の変更は所定の手続きで認められますが)。
共用部分とはどの部分かについてしっかり認識しておくべきです。

2、よく質問を受ける部分について

玄関ドア、窓ガラス、サッシなどで、取り換えはその部屋の区分所有者の自由になるのですかと言うものです。
これらはいづれも建物の外部と内部を画する部分ですね。建物ということから言いますと共用部分となります。つまり全員の共有財産になるところです。しかし、その部屋の居住者が専ら使用するところですからある程度の融通を利かせる必要があります。
私は、①玄関ドアについては、その部屋だけがドアの色が違ってしまうのは良くありませんし防災防犯上の観点から共用部分としての取り扱いを重視し、取り換えを許さないことを基本としてアドバイスしています。②窓ガラスについては、割れることもありますので、同じ質のものであればその部屋の居住者が取り替えることも出来るとアドバイスしています。③サッシについては管理規約で全体の入れ替えをする時期よりも先行してその部屋だけが実施するのなら所定の条件をクリアすることで可能と言うようにアドバイスしています。

共用部分か専有部分かで対応が異なることについて

この問題が重要ですね。
給排水管からの漏水事故の責任の所在とか、騒音の音源がどこなのかによって改善等を求める相手方が異なるとか、いろいろありますので、個別に言わせてもらう事にします。
以上のようにこの問題は基本で大事ですので押さえておいてください。
                                                       以上