管理不全マンションについて

管理不全マンションとは

管理不全とは、管理組合の運営が機能していないマンションのことと理解してよいと思います。管理組合がそもそも存在しないマンションも全国に600棟はあるという報告もありますので運営自体できていないところも多くあります。
管理不全になりますと建物管理、設備メンテが出来なくなりますし、管理費の徴収から預金管理もできません。こうなればマンションは荒廃していくことになります。

何故起こるのか

色々な見解はあると思います。もともと多数の人が集合住宅に居住することになるのですから、うまくコミュニケーションが取れないことがあるとか、あるいはマンションに住もうとする人は隣り近所の付き合いが面倒であり鍵一つで自分の住宅つまりプライバシーが保てると考える人がいるのも事実です。今、問題視されているのは建物の老朽化と居住者の高齢化でしょう。
建物について考えましょう。マンションはコンクリートの建物です。コンクリートの耐用年数を基準として考えますと60年くらいが住宅としての限度となるのかもしれません。しかし、60年で住宅としてその効用が失われる建物はないと思います。昭和30年代の建築物が60年を迎えているのですが健在な建物を多く見かけます。ですから、建物もメンテナンスの仕方で寿命は延びるものだと考えます。
ただし、ライフラインにあたる電気設備や給排水管の老朽化を乗り越えていかねばならないことがあります。これには資金が必要になります。

居住者について考えてみましょう。高齢化することは防げません。35裁で入居しても40年たてば75裁です。もちろん分譲時に入居した人たちがそのまま居住しているとは限りませんが全体的には高齢化していきます。そのことは活動力と経済力の低下を意味します。、

建物の老朽化を食い止めるためには多額の改修工事費用が必要ですが、居住者にその費用を負担する力が衰えていくことになります。そして居住者の無関心や賃貸化が進むことで管理不全が進行していくと思います。

管理不全を起こさない方法はあるのか

少し横道にそれるかもしれませんが、居住者の意識が重要だと考えます。
私のブログにおいても管理組合と管理会社の関係について触れていますが、管理会社になんでもやってもらうという意識が強くなってきているように感じています。そして管理費を支払っているからお任せでよいと考えて総会に出席することもしないでなんでも賛成するという無関心層が増えていると思います。
これは。将来管理不全になる確率が増していると私は思います。

そもそもマンションに居住するということは共有財産を使用して生活を送るということであるという認識が薄いと思うのです。
私は最近自主管理をしていたという管理組合の方と話をすることがありました。皆さん自分のマンションのことに真摯に向きあっておられました。その管理組合では自主管理の限界を感じて管理会社に委託することを決めたということでした。

そんな話から、私はこんなことを感じました。
マンションの管理は区分所有者が主体となってすることが出発点なのだ。区分所有法には管理会社は出てこない。まずは自分たちで自分たちの共有財産を管理することなのだ。そして自分たちでできないことや、できなくなったことを管理会社に委託することになる。すると、管理会社に何をしてもらい自分たちは何をするのかが明確になるというものではないでしょうか。私は自主管理をしてきた管理組合の逞しさを感じます。そして管理不全の可能性は低いのではなかろうかとも思います。

一方分譲時から管理会社が決まっているところ(昨今の分譲マンションはすべてと言っても過言ではありません)では、管理会社ありきで生活が始まっていきます。全てを管理会社に任せると言い意識が生じるのも無理からぬところでしょう。しかい、自主管理をイメージすることは大切だと思います。
マンションは管理会社ありきで運営はできないのです。主役は居住者のみんなです。
居住者みんなの意識が共有財産を自分たちで管理維持していくことに向けられることが管理不全を防ぐ方法だと思います。

2016年を振り返って

2016年最後のブログです。今年もいろんな相談や事案がありました。マンションの仕組みは分かりにくいところがあり、ついつい人任せになりがちになります。もっとマンションの仕組みを知ってもらう必要があります。管理会社の役割について誤解をしているケースが目立った年でもありました。
マンションの仕組みをわかりやすく伝えるように来年もブログを発信していきます。
2016年 大晦日 午後6時 記