マンションの適正な管理は誰によってなされているのでしょうか。管理会社の管理者就任はどうか。

1、マンションの管理は管理会社に委託しなければならないというものではありません。自主管理をするのも一つの方法です。管理会社に委託する形態が圧倒的に多いですが自主管理のマンションもあります。そして途中から管理会社に委託するケースもあります。

2 管理者について考えてみます。区分所有法において管理者という制度が認められています。簡単に言うと管理者は区分所有者の代理人であり、団体(管理組合)の代表機関であると言えます。このような立場の者を必要としたのは,法人格の無い団体として認められた区分所有者の団体が存在するからです。通常のマンションでは管理組合を立ち上げて規約を設定していますので理事長が選任されます。そして区分所有法に定める管理者に理事長が就任しているケースがほとんどです。理事長イコール管理者となります。

3、管理者は区分所有者との間において民法の委任契約関係と同様の善良なる管理者としての注意義務(善管注意義務と言います)を負っています。ではマンションで理事長に就任する人がこうした義務を負っていると明確に意識しているかと言うとそうではないでしょうね。善管注意義務があると言う事なら理事長になり手がなくなるように思います。輪番制で理事になってその中から理事長になることもあるのですから責任を感じるとしても義務があるとまでは深刻に考え無いでしょう。

4、善管注意義務とは何でしょかか。マンションの場合はマンションのルールである区分所有法や管理規約の適用運用を間違えないという事ではないでしょうか。そして財産管理というところでしょう。しかし、そのようなことについて多くの区分所有者の方は精通していませんし、それを求めるのは酷でしょう。
 
 そこで頼りにするのが管理会社となるのです。我が国において多くのマンションが法令を遵守して適正な管理組合運営をしているのは管理会社によるサポートがあるからと言っても過言ではないでしょう。

 ただ、区分所有法には管理会社についての規定はありません。区分所有法は自主管理を原則として規定されていると考えます。その趣旨は区分所有建物の管理は区分所有者が主体となって管理するというごく当たり前のことを規定している事になります。戸建て住宅を考えるとそうなりますね。
 横道にそれますが、マンション関連で様々な法律が制定されていますが、戸建て住宅との違いを意識して眺めることが必要だと思います。
 とは言っても、現実問題として管理会社が無くなると多くのマンションは機能不全に陥るのではないでしょうか。
ですから、管理会社、そのフロントマンのスキルアップは望まれるところです。

 一方、区分所有者において自分たちで管理をするという意識が薄らいでいる事も否定できません。理想を言うようですが区分所有者が管理の主役であって管理会社は脇役(サポート)なのです。脇役が主役になってはいけませんが脇役がうまいと芝居は引き締まりますね。

5、では、管理会社が管理者に就任することはどうでしょうか。私は基本的に反対です。性善説に立たないと成り立たないと思うからです。管理組合の代表機関が管理業務もするという事は、自分で決めた事を自分が受託して実行することになるのです。もちろんこれは利益相反となることですのでそれなりのチェックがなされますが、十分なものは出来ないでしょう。間違うと管理会社のやりたい放題と言う結果になります。この問題は様々な議論があると思いますが、根幹にあるのはマンションと言う区分所有建物のあり方になってきます。また寄り道になりますが、区分所有者が主役となって管理できるマンションの規模は100戸くらいが限度かなと感じています。これ証明できる根拠は無いですが何となく思っています。
                                                        以上