専用使用している共用部分の補修や取り替えの費用負担について

玄関ドアやサッシのガラスなどが壊れた場合

こんな時にその住戸の区分所有者が費用を負担して取り替えなどを行うことでよいのか共用部分ですから組合の費用で賄うのか、考えるところです。
さらに問題は傷んだのが経年劣化なのか使用方法に問題があったのかなど原因が問われることもあります。
管理規約では専用使用権を有している共用部分と規定されていることが大半だと思います。そして、管理については通常の使用に伴うものについては専用使用権者つまりその住戸の区分所有者がその責任と負担をしなければならないとしています。したがって、日常の使用によってガラスが割れたりしたときは専用使用権者が修理しなければなりません。
経年劣化の場合について裁判所の考えが出ています。仙台高等裁判所で平成21年12月24日に判決が出ています。それによりますと、経年劣化は通常の使用に伴うものであるという判断を示しています。この判決の考えで行くと経年劣化もその専用使用権者が費用負担をすることになります。しかし総会で具体的に管理組合が費用負担すると決議すれば組合の負担となります。
玄関ドアやサッシ枠が何十年も経ちますといがんで来たりして締まりが悪くなってきます。こんな時は多くのドアやサッシが傷んできているので大規模改修工事の一環として全住戸での入れ替えとなり組合としての費用負担とすればよいのです。

第三者行為によって損壊した時はどうでしょうか。ボールが飛んできて窓ガラスを割ったとか、ドアを誰かが蹴とばしてへこましたとか、があります。これらは第三者が弁償すべきことは間違いないのですが、当面の修理費用は組合の負担で賄うことでよいと考えます。通常の使用に伴うことによる損壊ではないのですから共用部分の修繕と単純に考えればよいと思います。

設置した設備の欠陥があった場合

これはもともとの施工が悪いとか製品に欠陥があったというケースですが、アフター保証の期間内でしたら事業主に補修を要求すればよいでしょう。しかし期間を経過している場合は区分所有者が費用負担をすることになると考えます。もちろん設置の施工不良などを証明できれば施工会社に責任を追及できる余地はあると思いますが、その究明に費用と労力がかかりますので、現実的ではないでしょう。

対応のためのルール作り

このような問題をあらかじめ規約などで決めておくことが良いと思います。
例えば、「ベランダへのサッシ枠やガラスが破損したときは専用使用権者がその費用と負担において修理することを原則として、その破損の原因が通常の使用によるものではないことを専用使用権者が証明することができれば組合の費用負担とする。」とかです。組合で検討しておくことが必要かもしれません。