駐車場について思うこと

1.駐車場専用使用権について

駐車場として使用できる権利のことを「駐車場専用使用権を持っている」
と言います。

この専用使用権は、共有敷地、共用部分に対して設定された権利とされています。

では、専用使用権は法律上の根拠はあるのでしょうか。根拠はありません。
管理規約によって全区分所有者により合意された権利となっています。

したがって、絶対的な権利ではありません。
駐車場分譲とは何でしょうか。

分譲主が共有地上に留保した駐車場専用使用権を区分所有者に個別に権利譲渡することです。
対価をもらうことで分譲という名称となり、使用期間や使用料の定めをしていません。

このような形の分譲を最高裁は、有効だとしました。

誤解の無いように言っておきますが、車庫として登記もされている分譲駐車場がありますので、ここで説明するのは登記されていないものと考えてください。
以下も説明も同様です。

組合と使用者との間で駐車場使用契約を締結する形のものは、組合との契約によって当該契約者に専用使用権を認めて使用させるものであり、使用期間や専用使用料が決められています。

分譲であれば、駐車場の譲渡も認められるのでしょうか。
分譲であれば、駐車場は買取請求の際に価格が認められるのでしょうか。
分譲であれば、管理費(使用料)を組合が一方的に変更できないのでしょうか。
分譲であれば、組合がその権利を奪えないのでしょうか。

以上の点について、専用使用権者は利害関係を有するので、承諾が必要となるのでしょうか。

2.駐車場収入の税務上の問題について

共有敷地は、全員の共有財産である。
マンションではなく、更地を相続で共有取得した者が10名いたとして、そのうちの1名が土地全部を借りたいと申し出たとします。
そのときの契約は、形式的には10名を貸主として1名を借主とするもので、賃料を徴収すれば不動産収入が発生する。

このことは、管理組合でも同様ではないでしょうか。
非課税となる場合は、管理費相当の金額を支払う場合ではないでしょうか。
それを超える金員の支払いは、全区分所有者にとって自己の財産(共有敷地)から生じる収益ではないでしょうか。
管理組合は、徴収主体であるが、本来の管理業務ではないと考えられるので、全区分所有者が受けるべき収益を代行して受領しているだけではないでしょうか。

請求を合理的に説明するとすれば、管理組合の能力、つまりは、職務範囲を検討することになります。

モデル規約では、駐車場の専用使用権とは明記せず、使用契約により使用させることができるとしています。

バルコニー、専有庭の専用使用権とは明らかに異なった考え方をしています。

3.携帯の基地局設置の問題と駐車場の関連性について

札幌地方裁判所(平成20年5月30日)で出された判決との関係について

共用部分を使用させること、使用料を貰うこと、その期間を一応定めることについては、駐車場の使用と同じである。

ただし、駐車場は共用部分として形状が駐車場となっている。
しかし、携帯基地はそのような形状ではない。

地裁の判決は、処分行為にあたるので、総会決議では使用契約を締結できないとした。

駐車場も、期間の定めなく10年を越えるものであれば、処分行為とならないのか。

控訴審の札幌高裁平成21年2月27日判決は賃貸期間(3年以上は処分行為となる)も特別法である区分所有法が民法に優先するとして過半数の総会決議で可能とした。

駐車場も処分行為となれば、全員同意が必要ではないのか?

区分所有者間での使用としても、その使用料の金額と使途によっては収益事業になるのではないか。

駐車場分譲は、新規分譲時において、分譲契約、重説、規約の三点セットで全員の同意がなされるので、処分行為として有効となる。

したがって、当該使用権を奪うためには使用権者の同意が必要ではないか。
ただし、使用料については、多数決で変更が可能。
また、譲渡や転貸は自由にはできない。

以上のような問題意識を持っています。