給排水管の劣化と漏水の責任並びに管理組合の対応について

1 排水竪管は共用部分ですが、問題は排水枝管がどの部分に設置されているのかによって専有部分なのか共用部分なのかを判定することになりますので例を挙げて説明をしましょう。
①居室の床下で床スラブの上にある場合は専有部分と考えます。②居室の床スラブの下にあり下階の居室の天井裏にある場合は共用部分と考えられています。この考え方は平成12年3月21日に最高裁判所の判決で判断され現在の一般的な取り扱いとなっています。その居室の住人が修繕をしようとした場合下階からでしかできない状況ですから共用部分として処理したという事です。③もう一つは床スラブの中に埋め込まれているタイプです。設計上の理由からスラブ内という選択になったものと思います。これは共用部分です。やはり修繕しようと思えばスラブをはつらなければなりませんし、居室の住人にはメンテとか目視による定期点検も不可能なところです。
2 漏水が起こった時の責任は共用部分の不具合からだと管理組合が、専有部分のところであればその区分所有者が負います。
3 漏水事故が起こった時に管理組合の対応がどうかと言う問題が出てきます。つまり枝管の経年劣化が理由であれば一か所で発生すれば近いうちに順次他の箇所でも起こる確率が高く」なります。排水管の老朽化の問題です。それで枝管の修繕費用については管理組合で負担してはどうかと言う意見も出てきます。管理組合で費用負担するには枝管を規約共用部分とし専用使用権を認めるという規約を設定する必要があると思います。しかし、管理組合が日常的に管理出来ない部分ですからそう簡単にはいかないでしょう。枝管の劣化はその居室の住人の生活スタイルで劣化の進行具合には差があるでしょうが、新築当時のままで年数が経ったという事ですと部屋の当たり外れがあるようにも思えます。ですから管理組合での修繕費用負担は検討に値すると考えますし、すべての枝管の更新作業を検討すべきでしょう。共同生活に影響を与える事項だと思います。
4 給水管の場合も同様の問題はあると思います。
5 余談ですが、賃貸マンションでの漏水事故で最近出くわした事を紹介します。どちらもマンションという建物としては基本的には同じ構造です。賃貸マンションで漏水事故が発生した時の家主側管理会社の対応でエッと思ったことがありました。漏水個所が枝管部分であったことから、枝管は借主の責任ですと言ってきたのです。分譲だとそうかも知れません。しかし、賃貸では家主がどこを貸しているかの問題ではないでしょうか。枝管も貸している事になります。借主の使い方などの問題の無い限り家主の責任の問題ですね。おそらくマンションという事で分譲と賃貸を混同しているのでしょう。分譲マンションにおいて賃貸との区別について理解できていない区分所有者の方は意外と多いと思いますよ。その話は別の機会にいたしましょう。