共用部分か専有部分かという基本的問題について
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共用部分か専有部分かという区分けはマンションにおいて問題が発生した時に前提問題として決めなければならない事項です。共用部分となれば一区分所有者が勝手にいじることはできません。管理規約の別表には共用部分はどれだということが詳細に記載していますので確認してください。
今回は区隔壁を一例として考えてみます。
区隔壁は共用部分である
区隔壁の問題が起こるにはその壁を壊して開口部分を作る時です
さて、区隔壁は共用部分か専有部分か?
(1)管理規約には、共用部分とは、区分所有法2条4項の共用部分を言うとあり、対象物件のうち、共用部分の範囲は別表に掲げるとおりとして別表には区隔壁は建物部分の共用部分と定められているのが一般的です。。
(2)区分所有法2条4項について
同法2条4項には専有部分以外の建物の部分を共用部分とすると定めているが、この専有部分について区分所有法は2条3項において「専有部分は区分所有権の目的たる建物の部分をいう」と規定するにとどまっていて専有部分の範囲については解釈することとなります。
その解釈論としては次の諸説があります。
区隔部分は全て共用部分とする説
区隔部分は全て専有部分とする説
区隔部分の骨格をなす中身の部分(壁芯)は共用部分であるが、その上塗り部分は専有部分に含まれるとする上塗り説
以上が主なものですが上塗り説が妥当とされています(コンメンタール・マンション区分所有法第2版 稲本洋之助、鎌野邦樹著18~19頁)(法務省民事局参事官室編「新しいマンション法」(昭和58年11月12日発行)71~72頁)。
管理規約においても上記の上塗り説の考え方を基にして、区隔壁は共用部分として明記されています。
区隔壁が全て専有部分であるとする説に基づくとその壁芯まで自由に変更できることになり建物の維持管理からして妥当ではないのです。隣同士で壁芯まで自由に取り壊せるとすれば壁がなくなってしまいます。
要するに個々の区分所有者が自由にできるかを決める基準になりますので非常に大事なのです。
合体登記の問題
区隔壁を勝手に開口して二戸を一戸にする合体登記をすることは意外と簡単にできてしまいます。その開口が根拠のあるものかどうかは審査されないのです。少し考えたほうが良いと思いますが、ここでは問題提起にとどめます。
以上