理事長はどこまでできるの?

問題提起

理事長の暴走とも取れる事態が増えています。要するにマンマン化とか独裁的とか言われています。具体的には人の言うことは聞かないで、自分が正しいと思いこむタイプ。管理会社には自分の言うことに従わせるとか、規約などの手続きを軽視するタイプ。さらには強面でにらみを利かすタイプなどなど、色々あります。このどれもに共通するのは理事長には強力な権限があるのだと言う思い込み、勘違いがあるのです。今回はこの思い込みが間違いであることをお話します。

理事長は単独で何かを決定し実行できるのか

理事という役職は管理規約において管理組合に置かれたものです。区分所有法には理事と言う規定はありません。と言うことは規約での規定がどうなっているかを確認することになるのです。そして理事長も同じことです。管理規約を見てみると理事長は管理組合の業務を統括するとあります。統括するとは管理組合業務を指揮・総合調整して一つの方向に取りまとめることを言います。理事会を招集したり総会を招集したりすることもそうした職責を果たすことになります。そして理事長が執行する業務の多くは理事会の承認を得て行うことになります。
又、理事長も役員として誠実義務が課せられています。つまり組合員のために誠実にその職務を遂行しなければなりません。理事長が独断で何かを執行出来るものはほとんどありません。

こんな理事長は困ったもんだ

自分の判断で議案にするかどうかを決める理事長がいます。例えば、共用部分の補修か専有部分の補修かで微妙な判断を迫られる場合に独断で専有部分だとして理事会や総会に諮らないケースがあります。理事長にはそんな判断はできません。理事会で審議したり管理会社に意見を求めたり、そして判断に苦しめば専門家の意見を求めることをして方向性を決めるのが筋でしょう。

理事長が絶大な権限を持っていると誤解している理事長がいます。例えば管理会社を自分の部下のように扱うケースがあります。管理組合の業務は管理業務委託契約で決まっていますので、そもそも契約に無いような事を要求することはできないのです。理事長が単独で勝手に要求は出来ないのです。ちょっと考えれば分かるでしょう。要求したことで業務が増えれば管理委託料金が増額になるのですから、管理組合全体で考えることですよ。理事長には自己負担金は無いと思っているのでしょうね。

在任期間の長い理事長がいます。この原因は組合員にも責任があります。なり手がない組合のケースですね。緊張感が無くなります。管理会社はその理事長の顔色だけを見ていれば良いようになりますし、組合の業務の透明性が失われる危険もあります。

立候補する理事長も問題です。私なら立候補しませんね。どうしてかと言うと気を使う役職だからです。理事の皆さんや管理会社と協力して組合運営をしていかねば任期を全うできないなと思うからです。私は以前から、理事長は会議の段取りをしたり、会の司会進行役ですので、決して大きな権限を持っているものではありませんよと、理事長という名前で勘違いしないでねと言い続けています。そのような役職に立候補する人は良いことをやろうとする人かその逆の人かに分かれるのではないでしょうか。これも組合員の意識が問題とされますがね。

このような理事長にひとこと

誠実義務を果たしていますか?果たしていないと規約違反ですよ。
誠実義務とは組合員のためになっているかと言う事です。むろん客観的に見ての事ですよ。理事長の独断は誠実義務違反でしょう。なぜなら少なくとも理事会で相談してくださいよ。管理会社との関係も勝手にやれば管理委託契約に影響してきますのでひいては組合員に影響するのです。
理事長が適正に業務を執行しているかどうかは組合員の意識に関わってきます。民主的な組合を作ってください。
最後に一言。多くの理事長さんは自分の時間を割いて頑張っておられることは十分承知しておりますが、近頃そうでない理事長も増えつつありますので発言しました。