区分所有者が亡くなり、 相続人が全員相続放棄をしたという場合、 どうすれば良いでしょうか?

共有財産で相続が発生した場合

この問題を考える時は、一般的な問題と、区分所有建物の問題を検討する必要があります。
一般的な問題としては、財産を持っている人が死亡して、相続人がいないとか、相続人全員が相続放棄した場合は、特別縁故者に対する分与(民法958条の3)によって、相続人以外の人が承継するか、そのような特別縁故者がいない場合は、国庫に帰属する(民法959条)こととなります。
国庫に帰属すると言っても、放っておいて国庫に帰属することはありません。民法の規定は、国庫に財産権が移転することの根拠を与えているだけです。
実際には、相続財産管理人を家庭裁判所によって選任してもらい、相続財産の管理等をしてもらいます。
その相続財産管理人の選任は、相続放棄をした相続人であったり、債権者であったりします。選任された管理人によって、国庫への帰属が実現されていきます。

 次に、区分所有建物の問題として、マンションの部屋は専有部分と言われ、区分所有権の対象となりますが、建物の共用部分は全区分所有者の共有であり、敷地も全区分所有者との共有です。
 共有において、共有者が死亡し相続人がいない場合は、その共有持分は他の共有者に帰属する(民法255条)こととなりますが、区分所有法では、敷地と建物の分離処分禁止が定められていますので、共有部分について他の区分所有者には帰属しないこととなります。
 したがって、結果としては、一般的な場合と変わりはありません。

管理組合の対応

 では、管理組合としては、どのように対応していくべきでしょうか。手順は次の通りです。
 ① 相続人の調査
 ② 相続人の存在を確認できない。
 ③ 特別縁故者も見当たらない。
 ④ 家庭裁判所に相続財産管理人を選任してもらう。
(管理組合は、管理費の請求権者として、債権者である。)
 ⑤ 財産管理人によって、その住戸である専有部分を処分してもらい、滞納管理費を支払ってもらい、残余財産(金銭)は国庫に納入してもらう。
こういった流れになります。

 こうした手順を取らないといけませんから、費用と労力が必要となります。
 現在問題となっています空屋対策と共通するものがあるかも知れません。
以上