管理会社と管理組合の利益相反行為(弁護士の立場から)

利益相反行為とは

利益相反行為という言葉は聞いたことがあると思います。私たち弁護士は日常の業務の中で気を付けている事柄です。例えば相談を受けている相手方から依頼を受けるとか、遺言執行者になっている弁護士が相続人の一人から相続の相談を受けるとかです。要するに公平性が保てない恐れがあるのです。
公平性が保てない場合はその仕事を引き受けないようにしています。弁護士の場合利益相反行為の仕事をしますと懲戒処分の対象になります。
私は管理会社の顧問をしています。よくありますのは管理費の滞納者に対する支払い請求事件を管理組合から依頼されるケース7です。大概の場合依頼を受けて事件として訴訟をします。こうした場合管理会社と管理組合はともに滞納者に対して滞納管理費を回収することに向かっていますから利益は一致しています。利益相反は顕在化していません。しかしながら、管理会社と管理組合は契約の当事者ですからお互い相手方になります。管理会社の顧問弁護士は管理組合との関係で言いますと利益相反は潜在化しているのです。

管理会社と管理組合の昨今の関係

管理組合と管理会社は管理業務委託契約で結ばれています。少し前までは管理会社の業務について全幅の信頼を寄せている管理組合が多くありましたが、この頃は管理会社に対する要求が多くなりかつ厳しくなったことで管理組合が管理会社に対して損害賠償などの請求(中にはクレーム的なものがありますが)がなされるケースが増えています。こうなってくると顧問弁護士は管理組合の依頼を受けることはできないのです。弁護士としては利益相反行為となるのです。
さて、管理組合が管理組合に対して損害賠償請求をしてくるケースが増えてきているのですが、多くは管理業務委託契約の理解不足です。何回か述べていますが、管理会社と管理組合のの役割分担の認識が出来ていないのです。特に理事になる方の認識が問題となるケースが良くあります。
例えば管理費の長期滞納者に対する請求業務、これは管理会社に法的アドバイスを求めるパターンです。また、事業主や施工業者に対する建物の瑕疵についての請求関係を依頼して管理会社に交渉を任せるケースなどです。

管理会社がすべきこと

管理費の滞納については6か月間の督促業務です。その期間を過ぎれば組合の判断で訴訟をするかなどをきめてもらうことになります。また、事業主などとの交渉は業務範囲ではありません。組合によると理事長になる人の個性によって管理会社に対する対応がまちまちになりがちです。過大な要求をする人が増えている7という感想を持つのです。
理事長の権限にはどんなものがありますか?管理規約を見てください。管理会社のフロントマンもよく見ておいてくださいね。管理組合がすべきことも多いということです。

弁護士としての独り言

よく性善説とか性悪説とか言いますが、性善説でいければいいなと思います。しかしながら、何か疑ってしまうことが多くなっています。この理事長は大丈夫かなとか、検討することが増えているのです。こんな人いてるのかいな屠思うことも多くなってます。

以上