規約敷地とみなし規約敷地について

規約敷地について

これは区分所有法5条の問題ですが、その前に専有部分と敷地利用権の一体性(敷地利用権と専有部分との分離処分を禁止すること)を定めた区分所有法22条の存在を忘れてはいけません。
 この一体性の制度によって、不動産登記も大きく変わりました。区分所有建物の登記において表題部には「敷地権の目的たる土地の表示」欄ができました。その欄に記載される土地は法定敷地と言われる建物の所在する土地が入るのが原則です。ただし、規約敷地として建物の所在する土地以外の土地が入る場合もありますが、登記手続きとすれば規約敷地となる土地の所有名義は全区分所有者の共有名義の登記がなされている必要があると考えます。つまり敷地についての権利割合が明らかになる必要があるのです。
 そして、規約敷地にできる要件は、区分所有建物及び建物の所在する土地と一体として管理又は使用をする庭、通路その他の土地と定められています(区分所有法5条1項)。
 この結果、専有部分と敷地利用権の分離処分の禁止が適用されることになります。

みなし規約敷地について

 
 次にみなし規約敷地ですが、法5条によると建物の滅失か、土地の分割かの2パターンを定めています。これらは本来法定敷地であったものがその後に法定敷地でなくなったのですが、敷地としての取扱いを維持して、一体化を残すことつまり分離処分の禁止を及ぼすことを目的とします。この場合は特に規約で規定しなくとも規約で定められていることとしますという「みなし規約敷地」となるのです。

具体例

よくある事例ですが、管理組合が隣地を取得する話があります。そんなときは管理組合法人を設立して土地を購入し法人名義の所有権移転登記をしているようです。しかし、このままでは登記上の「敷地権の目的たる土地の表示」の欄にその土地が入ることはできないでしょう。
又、法22条では敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利と規定されていますので、法人名義の土地はこの22条の適用も受けないことになります。
 その結果、分離処分の禁止は適用されないことになります。

専有部分の売却のときに影響はあるでしょうか

マンションの売買の時は本来の区分所有建物(敷地権付)の売買と隣地、例えば法人での取得があれば、法人の一員としての組合員の権利売買が必要かもしれませんが、管理組合法人を形成するのは区分所有者ですので区分所有者の変更によって当然組合法人の財産も承継しています。財産として清算する時が来ればその時に組合員に配分されることになります。したがって、契約時には法人所有の土地があることを明記しておくべきです。

法人名義で取得した土地を規約敷地とすることは管理の範囲が増えましたということだけの意味があると考えます。
 

法人での土地購入について問題となること

法人で購入した土地について管理費等の滞納者の権利をどう考えるのかについては難しい問題があります。 購入資金は管理組合の資金と考えますが、積立金会計からでしょうか?土地の購入は目的外支出にならないのでしょうか。駐車場不足のためと言いますが、管理目的になりますか?
これらは個々の管理組合で考えることかもしれません。
以上