水道料金に関すること

水道料金の支払いについて

 まず、マンションにおいて水道料金の問題は個々の専有部分で使用する水道料金の支払いに関することになります。そして不払いの時の対応をどうするかということになります。
 多くのパターンは、水道局とマンションとの間で一括契約が結ばれて(一括検針一括徴収)、マンションの全専有部分での使用料と共用部分での使用料を一括して管理組合が支払い、管理組合が専有部分の使用量を検針のうえ算定し、個別に使用料金を請求するという方式です。
 電気料金は個々の専有部分と電力会社が契約して支払う方法が取られていますが、水道料金は組合において検針する作業が必要となります。

水道料金の滞納について

 管理費を滞納するようになると、水道料金も滞納になります。水道料金は、管理組合が水道局に立替え払いをしなければなりません。
 管理組合から滞納者に対する回収方法についての相談を受けますと、水道料金の使用量が一般家庭より突出して多いと感じることがあります。1回の請求金額が数万円となることもよく見かけます。
 管理費の滞納は数字として未払い金が増えるのですが、水道料金は現実問題として現金が出ていく(減少)のです。
 そうではありますが、水道料金の未払いに対して遅延損害金がかけられていないとか、専有部分を買受けた承継人に対して滞納水道料の請求ができなかったりしているのが現状です。

水道料金を承継人に請求できますか

 名古屋高裁 平成25年2月22日の判決は、以下のように言っています。
 
 専有部分の水道料金は、特段の事情のない限り各区分所有者が支払うべき金額を特定承継人に対して負担させることが管理規約によって定められていてもその効力は有しないとしました。
 理由としては、管理規約で定めることができるのは、建物又はその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項に限って規約で定めることができる(区分所有者法30条)ので、それ以外の事項を定めても規約としての効力を有しない。専有部分の水道料金は、共用部分の管理とは直接関係がないので、特段の事情が無い限り規約で定めることはできない。
 判決で言うところの特段の事情とは何か。上記の裁判では明らかにはされていません。
そこで、大阪高裁の判決で特段の事情を検討していますので参考にして考えますと以下のようになるのでは、と思います。
水道水の供給を受ける方法に一括契約の方法しかないとすれば、管理組合は全戸の使用料を立て替え支払いしなければなりません。そうすることで水道水の供給を止められることなく供給を受け続けることが出来るのです。そうしますと各専有部分の水道料金の支払いはマンション全体のライフラインを維持するために必要不可欠のものと考えられます。つまり管理使用に関して区分所有者相互間の事項になると考えられるのではないか、と思います。

この問題は区分所有法8条の解釈問題とする考え方もあり、なかなかむつかしい問題です。

私の答えは規約で承継できることを明記しておくことを勧めますが、裁判になったときは結論が分かれるかもしれませんという なんとも歯切れの悪い説明をしています。
以上