管理者についてーもう一度ー

管理者とは何でしょう

 昨年12月に同様のブログをアップしていますが、管理者について気になったものですから再度触れておきます。
 区分所有建物の管理について、区分所有法3条は管理のために管理者を置くことを認め、同法25条は管理者の選任及び解任を定め同法26条は管理者の権限について規定し、同法28条は管理者の権利義務は委任に関する規定に従うと定めています。
 これらの規定によると、管理者は区分所有者で構成される団体の機関(代表)として位置付けられ、管理者と区分所有者との法律関係は委任または準委任の関係とされています。
 管理規約では、理事長は区分所有法の管理者とすると規定されているのが一般的です。つまり理事長が規約によって管理者にも選任されていることになります。
以上のように管理者は管理組合の中の一つの地位になります。

管理者が区分所有法で定められた理由について

 
 区分所有建物において、その管理は区分所有者全員が共同で行うことが本来の形だと思います。しかしながら多数の区分所有者が存在することからその管理を代表して実施できる者が必要となりましたので法は管理者を設定し、そして管理者には集会で決定した事項について執行する権限を与えたのです。管理者は代表機関としての性格を持っていることになります。当初の管理組合は法人格を持つ制度もなく権利能力なき社団という団体でしたのでその代表として行動できる者が必要になったのです。

標準管理規約の改正によって第三者管理が盛り込まれました

 区分所有法上の管理者に就任する者に制限はありません。管理会社が就任することもありますし今回の標準管理規約の改正では第三者管理ができるように条項が考えられました。ただ、現状は区分所有者の中から選任された理事長が管理者にも就任することになっている組合が多いと思います。
管理者に管理会社が就任した場合は利益相反行為があることを留意しなければなりません。
私はこの第三者管理にはどちらかと言うと反対なのです。
 それは、マンションの管理は区分所有者が中心となって実行していってもらいたいという個人的な願望が働いているのです。マンションのコミュニティ形成のためには区分所有者が中心にならないと、という思いもあるのです。

その他

管理者という存在は区分所有者全体の代理人として損害賠償請求の当事者となる地位が法によって認められたことが非常に大きいことになっています。私も管理者から委任を受けて損害賠償請求の裁判をいくつかやっています。その時は総会の議案として管理者に訴訟追行を委任することとする承認を取ってもらいます。

管理者と管理会社、管理員といって似たような名前の職種がありますが、区分所有法で認められているのは管理者だけです。この区別はしっかりしていただきたいです。管理会社がマンションの管理を受託することは多くの人の頭の中では当然のこととなっています。しかしながら、区分所有法は管理会社のことを定めていません。
以上