マンションと用地買収について

道路用地としての用地買収

 道路用地として、マンション敷地の一部とか、マンションの建物の一部がひっかかるので買収したいと、起業者である国や市からの申し出を受けることがあります。
 私の自宅近くのゴルフ練習場(打ちっ放し場)が昨年、道路用地にかかったとして取壊しとなりました。そう言えば、周辺の建物が既存の道路に対して斜めに建っていたところがあったりして、予測は可能であったのです。隣接するマンションは、建築時から敷地の一部がすみ切りになっていました。

さて、個人とか会社が所有している土地に対して買収問題が発生するのと、マンションで発生するのとでは、手続き面も含めて大きく異なります。要するに100戸のマンションであれば100人の地権者がいることになるわけです。
 今回のブログでは、ちょっと見方を変えてお話ししたいと思います。

用地買収が何に影響するのか

 買収されるということは、土地を処分することで、マンション敷地面積が減少することになります。その時に影響を受ける利害関係者に抵当権者がいます。主に住宅ローンの担保として抵当権を設定した金融機関になります。
 金融機関としては、担保価値がどの程度下がるのかに関心があります。
 その時に判断材料となるのは、一住戸当り敷地がどれだけ減少するのかということになります。
 一般的な話となりますが、敷地面積に対してどれだけの住戸を持ったマンションが建っているかによって違いが出てきます。
 都心部で10階前後のマンションですと、一住戸当りの敷地面積は約20㎡位が平均ではないでしょうか。タワーマンションになりますと、一住戸あたりの敷地面積はさらに少なくなるでしょう。
 もちろん、それぞれのマンションによって異なりますが、一住戸当りの敷地面積が50㎡を超える物件は土地所有の部分が大きくなっていることから、用地買収される場合もその減少が大きくなります。
 したがって、抵当権者にとっても影響が出ます。
一方、住戸あたりの敷地面積が少ない場合は、抵当権者にとっての影響もさほどないと言えます。ただし、土地単価の問題はありますが。

一住戸の敷地面積はどれくらいですか

 
皆さんもご自分の住戸は、敷地面積をどの程度所有しているのかをチェックしてみてはいかがでしょうか。
 マンションの購入時に敷地権割合の数字は認識されている(それも余り確認していないかも知れませんが)と思いますが、敷地面積とすればどの位かの認識は、無いかも知れません。
 
よく、マンションの資産価値が下がるのでは無いかと言われる方がいます。用地買収で敷地面積が減る事は資産が減ることになりますが資産価値が減ることとイコールでは無いと思います。前面道路が拡幅・拡張されるのですから、普通に考えると資産評価が下がるとは思いません。

用地買収でのポイント

ここで重要な事を述べておきます、用地買収で敷地の一部を処分するには全区分所有者の同意が必要です。敷地を共有していることは所有権を全区分所有者で分け合って持っている事です。処分はその権利を喪失させてしまう事になりますので権利者の意思に反しては出来ないのです。中にはマンションはなんでも多数決で決める事が出来ると考えている方もいるようです。規約で決めればいいんだろうと言う意見も耳に入ることがあります。規約で決めることができる事項は限られています。処分行為だめなんです。

そこで、個々の区分所有者としどう考えるかとなりますと管理組合としての方向性が出れば、共同生活・コミュニティの面を考慮して考えられれば良いことだと思います。
以上