管理費滞納者の名前を公表して良いのでしょうか

問題提起

この問題は古い問題でありいまだにすっきりしない問題です。
相談を受けることも割合多くあります。今度の理事会で滞納者の名前を明らかにしてもよろしいでしょうか、という質問は管理会社のフロントマンから、総会で滞納者の名前を公表してもよろしいでしょうか、という質問は組合の理事からといった具合です。質問者は個人の秘密に当たることだから個人情報保護法に違反するのではないかと言う心配を持っています。
そんな質問の時に私は、「名前は伏せたほうがよいでしょう。部屋番号だけにしたらどうですか」と答えています。名前を伏せることはそうしなければならないというものではありません。管理組合の皆さんの感覚を尊重しての回答です。

名前の公表は違法なのか

では基本的な事を説明します。管理費の支払いは誰と誰との約束でしょうか。区分所有者と管理会社との約束ですか?区分所有者とマンションと言う抽象的な者との約束ですか?ズバリこの約束は管理組合つまりは区分所有者全員との約束になります。ですから管理費の支払いについては全員が当事者になるのです。当事者が滞納者が誰であるのかを知らない事はオカシイでしょう。そして個人情報保護法は適用されません。自主管理の場合を想定してください。役員は入金管理をしているのですから誰が支払っていないかは分かります。そして理事会においても実名で議題に上るでしょう。そうです。この問題は管理会社が業務委託を受けることによって起こる問題でもあります。管理会社は個人情報保護法において対象となる法人になりますので、滞納者の情報も保護しないといけないと考えるのでしょう。しかし、場面が違います。

こんな問題があります

無いようであるのが理事長の滞納です。理事長は滞納者に対して督促状を出す時の管理組合代表者です。ですから滞納者の情報は一番知っています。もし、理事会で滞納者の名前を明らかにすることとなれば、その理事長は大変ですよ。何とか隠そうとしますね。そこで滞納者の名前はもちろんのこと部屋番号も公表しないように管理会社に仕向けることがあります。そして理事会では滞納に関しては何名が滞納になっていて総額で50万円の滞納となっていますというような報告がなされる訳です。

私が部屋番号だけで処理したらと言う訳について

マンションでは多数の世帯が生活しています。そして不特定多数の人が出入りします。子どもから高齢者までいるひとつの町内会です。滞納者の名前を多数の人(それが区分所有者であっても)が知ることになれば外部に拡散していく可能性もある訳です。ですから共同生活を営む者の配慮として名前は伏せておきましょうと言う回答をしています。
ちなみに滞納者への請求訴訟をする場合は誰に対して訴訟をするのかを理事会なり総会で決議しなければなりませんが議事録には部屋番号だけの記載に止めています。裁判所への提出資料として、理事会議事録あるいは総会議事録が訴訟提起が承認されている事実確認のために必要となりますが、部屋番号だけの議事録で裁判所は受付してくれます。訴状には名前が明記されるのは当然のことですがね。
以上