管理費滞納者に対して強制執行する手続きはどうするのか

1、強制執行をするには判決があるとか公正証書があるとか所謂債務名義が必要です。判決の取り方については省略します。
2、判決に基づいて強制執行することになりますが、この申立ては裁判所にします。その時に管理組合が申立人になるのですが、裁判所から強制執行をすることの承認を管理組合がしているのか?と言うことを確認されます。これを明らかにするためには総会の承認議事録か理事会の強制執行することの承認議事録があればよいのです。ただし理事会の承認議事録が有効になるためには、規約において理事会の決議で提訴及び強制執行ができることの規定があることが必要です。
3、以上のような手続きが必要になりますので、私は管理組合から滞納者に対して訴訟提起を依頼されるときは理事会あるいは総会において強制執行までの承認を取ってもらうようにアドバイスしています。
4、次に強制執行の目的物は不動産、動産、債権特に賃料債権などになりますが、ここでは不動産執行について少し触れておきます。
滞納者の専有部分の登記を見ますと大抵は抵当権が付いています。そしてよくあるのが管理費は滞納するのに住宅ローンは滞納していない人が多いということです。そうすると強制執行をかけた時に抵当権者である債権者は執行に関して反対と言う意見を出すことになります。そのような回答があれば執行は前に進めませんから結果として執行は取り下げねければなりません。
しかし、中には抵当権者の同意を得られる事がありますので執行を進めることができることもあります。
強制執行ができないという状況であれば、次の手段として区分所有法59条の競売請求となります。この話は又の機会といたします。